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増え続ける老人性難聴ー音は聴えても言葉がわからないのが特徴ー

2007年2月19日 月曜日

「何か云われているのはわかるが、何を云われているのかその内容がよくわからない!」と訴えられることが特に高齢者によくある。

 「音としてわかっても、言葉としてわからない」、即ち音として聴こえることと、言葉として理解できることが異なることが起る。これは、音の「歪み(ひずみ)」と云って、音の大きくなり方や混り方が変って来ていることにより生じ、内耳にある約一万個の音を感ずる細胞の障害により起り、「内耳性難聴」の特徴とされている。

 年齢が進んで起る難聴は、一般に「老人性難聴」と云われるが、近年内耳の血管の動脈硬化によることが殆どと、他の臓器の老化と変りないことがはっきりして来ているが、内耳血流が障害され、充分血液が来ない細胞から「音の歪み」を生じ、言葉の理解が悪化する。

 これは、言葉の理解力の検査(語音明瞭度検査)にて明らかにされ、純音聴力検査による音の聴えのレベルでは軽度~中等度の難聴でも、言葉の理解力は約半分とかそれ以下になっていることも多い。(言葉の理解力が両耳共に五十%以下の時には、聴えのレベルが軽度又は中等度難聴でも身体障害者四級に認定される)。

 言葉の理解力が障害されている時は、この音の歪みの度合いをそれぞれの音の高さについて測定し(アブミ骨筋反射域値と純音聴力検査域値の差が各周波数についてその度合いを数値として出すことができるー音の大きくなる度合いが変る現象を「補充現象」と云うー)、補聴器適合・調整にこれを加味して行くと、静かに、音の響きなどなく、言葉がわかり易いようにすることが出来る。

 勿論、言葉の理解力は補聴器の適合・調整で改善できるわけではないが、その時点で言葉を最も良く理解出来る状況にすることが可能で、これらを加味せず、通常の計算式などによる適合・調整とは異なる結果となる。

 言葉の理解力の悪い「内耳性難聴」も、言葉の理解力が改善してくることがあることが最近はっきりして来ている。

 一つは動脈硬化・高脂血症(血中のコレステロール、中性脂肪など脂質系物質の上昇)による内耳血流障害(老人性難聴の殆どは、これによるものと思われる)が加療・食事療法などにより、内耳血流が改善され、障害されつつあった音を感ずる細胞が回復したと思われ、本人も聴えが良くなったと自覚する。勿論、純音聴力検査による聴えのレベルは変らない(一度駄目になった細胞は回復しない)が、言葉の理解力が改善しているケースである。

 もう一つは、補聴器にて言葉をよくわかろうとしたためと思われるケースで言語明瞭度が四十%前後であったのに、一~二年後に七~八十%に改善しているケースを良く見掛ける(脳の応用力?聴き方がうまくなる?)。その表情も、補聴器をうまく使いこなせなかった人とは対照的で、非常に明るく、活気に溢れている。

 従って、言葉の理解力が悪い人には特に、補聴器を使って良く聴くよう、よく人と話すよう、力づけることにしている。


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  • 投稿日:2007年2月19日 月曜日

補聴器適合の重要性 ー医学判定下の補聴器購入を習慣付けようー

2007年2月15日 木曜日

 高齢化社会に入り、難聴高齢者が増加している。七十才以上で約半数が補聴器を必要とするようになるので、高齢化率が二十%に達した我が国では高齢者の約半数が、即ち人口の十%が難聴と非常に多いことがわかろう。

 難聴には補聴器と云うことになるが、我が国では一人ひとり異なる聴え方に補聴器を適合・調整する「補聴器適合制度」が確立して居らず、誰でも補聴器を売れたため、不適合補聴器が氾濫、殆ど使われなくなっている。

 年をとって、難聴となり、補聴器が使えず聴えないままでいると、コミュニケーション障害より、家族・社会より遊離・孤立、人間は精神的な動物なので、これが充分満足されなくなると、人生をあきらめ、生きて行く意欲を失い、閉じ込もり、寝たきり、認知症へと繋がって行く。我が国のように未曾有の高齢化社会を迎え、非常に多い難聴高齢者(人口の十%)が適切な対応を受けられず、放置されてしまっているのは、難聴は他の障害と異なり、目に見えないので関心が持たれず、全く対応されていないためと思われ、正視してみれば、超高齢化社会の我が国にとっては、避けて通れない大きな社会問題なのである。

 遅ればせながら、昨年四月やっと薬事法が改正され、補聴器は「管理医療機器」に規定され、販売規制が始まり、業者に補聴器適合の義務・責任が生じ、広告規制も始っている。

 これに呼応して、やっと日本耳鼻咽喉科学会が、「補聴器は医師の診断の元に購入すべき」との方針を決定(欧米先進国では、医師の処方箋がないと補聴器は購入できないし、ドイツでは医師が補聴器が適合しているか否か最終チェックの上、購入・保険支払となる。そして、一年に一度の補聴器チェックが法律で規定されているードイツ政府はドイツ国民は全て聴えるようにすることを、人間の基本的人権の一つとして保証しているー)、これに対応する「補聴器相談医」(耳鼻咽喉科医一万人中約三千名)を学会認定で制度化することになり発足した。

 医学判定を受けると、改善できる難聴も診断され(耳垢除去にて補聴器が不要となることも)、聴力の悪化を阻止する可能性も出てくる。

 また、国の定めた基準以上に聴力レベルが低下、又は言葉の理解力が悪化すると、身体障害者に認定、公費による補聴器支給も受けられるし、更正医療、育成医療にて治療も受けられる(聴力改善手術、人工内耳、人工中耳、脳幹インプラント埋め込み手術など)。

 医学判定により、補聴器が必要と判定され購入した場合、「医療控除」の対象にもなる。

 このように、適合補聴器が得られる時代となり、難聴高齢者の多い高齢化社会に対応出来るようになっているが、このことを難聴者も、その関係者も、県民、国民の殆どは知らず、これが活用されず、難聴高齢者への適切な対応が進まず、閉じ込もり、寝たきり、認知症が増え続け、当人らにとって不幸であるだけでなく、そのための介護費、医療費が益々増加、次世代に持ち越されることは実に不幸なことである。


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  • 投稿日:2007年2月15日 木曜日

ホームページ開設しました

2007年2月1日 木曜日

沖縄県 難聴福祉を考える会のホームページを開設することになりました。
当サイトでは、法人活動の目的や組織構成、活動のまとめなどの掲載や、これまでの報道、新聞で掲載された記録などの情報を発信していきます。
これからも厚いご支援のほどよろしくお願いいたします。


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  • 投稿日:2007年2月1日 木曜日
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