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補聴器選択 -貸し出しを受け、よく確認して購入すべき-

2007年4月18日 水曜日

 40~50才頃より聴覚が衰え出し、60~70才頃より生活に支障を来たす人が出てくる。早いか遅いか個人差があるが誰にでも起る。

 難聴には補聴器と云うが、補聴器の評判は悪く、補聴器はガアガアうるさいばかりで、頭が痛くなり、言葉がわからないからいらないと、殆ど使われて居らず(必要な人の10~20人に1人)、このためコミュニケーション障害から、社会・家族より遊離・孤立、人間は精神的な動物なので、生きて行く自信・意欲を失い、閉じ込もり、寝たきり、認知症と、人間として生きていけない人が増えている。

 一人ひとり異なる聴え方を測定し、補聴器を適合・調整すると静かに言葉がわかるように出来る。補聴器と同じ単位で聴えを測定しておくと、自分の聴えに補聴器がどうカバーしているか測定できる上に、目でも確かめることも出来る。そして、一人ひとり生活音、環境音が異なるので、貸し出しを受け、メーカーにより補聴器の音質が異なるので聴き較べもして、自分の聴き易い補聴器を自分の耳で確かめながら、選ぶことが出来る。

 そして、これが確実に行われるよう法律などの改正が行われ、適合補聴器が得られる時代になっている。

 即ち、一昨年4月に薬事法が改正され(厚生労働省)、補聴器は管理医療機器に規定され、補聴器の販売規制が始り、業者に補聴器適合の義務・責任が生じ、広告規制も始っている。

 これに呼応して、日本耳鼻咽喉科学会が、「補聴器は医師の診断の元に購入すべき」との方針を決定(ドイツ、イギリス、フランスなど先進国は、医師が処方するだけでなく適合しているか、患者の満足度も確認して売買、保険支払となる。そしてドイツでは一年に一度の補聴器チェックが法律で定められているードイツ政府は国民全てを聴えるようにすることを人間の基本的な人権として保証している)、補聴器相談医を学会認定で制度化することとなった(昨年4月よりー全国で約3千名、当県は25名。学会ホームページ参照)。

 これに加え、平成16年11月に「特定商取引に関する法律等の改正」が行われ(経済産業省)、高齢者が訪問販売、電話勧誘販売、通信販売などにより悪質なトラブルに巻き込まれた時に救済する法律(クーリングオフなど)も整備されている。

 このように適合補聴器が得られる時代となっている。従って、補聴器の選択に当っては、貸し出しを受け、良く聴えるか、雑音など気になるようなものはないか、自分の不自由さをカバーできているか、メーカーによる音質の異なりなどを確認して購入すべきである。

 聴えが不自由し出したら、このように早期に適合補聴器で対応し、コミュニケーションを良好にして、家族・社会と良好な関係を築き、正確な情報を得て人生を設計し、亡くなる直前まで、自分の思い通りの人生をエンジョイしてほしいものでである。


  • カテゴリー: 論壇
  • 投稿日:2007年4月18日 水曜日

医学判定下の補聴器適合の重要性ー人間らしく充実した老後を送るためにー

2007年4月2日 月曜日

 高齢化社会が進行し、高齢者が人口の二十%を越え、五人に一人となって来ている。この高齢者の約半数、即ち日本国民の十人に一人は難聴であり、如何に多いかがわかろう。

 難聴を感じ出したら、補聴器と云うことになるが、まず耳鼻咽喉科専門医の診察を受けるべきである。耳垢を除去しただけで補聴器が不要になった人もあるし、治療により聴えが改善することも少なくない。また、重大な疾患(悪性の中耳炎や、中耳・神経の腫瘍など)を除外しておくことも重要で、補聴器で聴えは良くなっていると思っているうちに手遅れなってしまう疾患もないわけではない。

 国が定めた基準以上に聴力や言葉の理解力が悪くなる(音は聴えるが言葉が良くわからないことがあり、これは内耳の音を感ずる細胞の障害などにより起る)と、「聴覚障害による身体障害者」に認定され、補聴器の交付が受けられるし、耳の手術(聴力改善手術、人工内耳、脳幹インプラント、人工中耳など)が必要であれば、公費で手術が受けられるが、勿論、医師の診断書が必要である。

 最近、高額の補聴器を購入される方も多いようだが、補聴器購入代金は「医療控除」の対象となる。これには、医師の診断書が必要で、従って購入前に医師の診断を受け、その指示により購入した時に限る。

 このように医学判定下の補聴器購入が重要で、欧米先進国は医師の処方箋により補聴器を購入するが、補聴器行政で一番進んでいるドイツでは、補聴器の適合具合を、医師が患者さんの満足度も含めチェックをして、はじめて売買が成立する。しかも、一年に一度の補聴器チェックが法律で定められている。即ちドイツ政府は、ドイツ国民は全て聴えるようにすることを人間の基本的人権の一つとして保証していることになり、我が国でも難聴当事者を中心に、このようなシステムの確立を要望していく必要がある。

 特に沖縄は、専門医不足が永く続いていたこともあり、聴えが悪くなると販売店に買いに行くことが当たり前になってしまったことは不幸なことで、このためと思われる補聴器不適合が「補聴器不評・不使用」となり、必要な人の二十人に一人(宜野湾市の実態調査より)と殆ど補聴器は使われていない。年をとって難聴になって聴えないままでいると、コミュニケーション障害より、家族・社会より孤立し、閉じ込もり、寝たきり、認知症などに追い込まれて行きかねない。

 人間は精神的動物なので、コミュニケーション障害などを含め、精神的満足が得られなくなると、特に高齢難聴の場合は、人生はもう終りと諦めてしまう人が、特に男性に多い。このように、諦めてしまってから補聴器を与えても、もうそれを使って元の生活に戻ろうとする人は殆どない。

 従って、聴えが悪くなり出したら、速やかに対応して、人生を継続し、自分の思い通りの人生を歩み続けてほしいものである。


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  • 投稿日:2007年4月2日 月曜日
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