■ 月別アーカイブ: 8月 2008

補聴器で人生エンジョイ -認知症予防にも役立つー

2008年8月16日 土曜日

 難聴者は五体満足に見えるので、視覚障害者や肢体不自由者のように人目につかない。また、人との会話がうまくいかなくなるので人を避け、人目につかないようにする。従って、一般の人に関心を持たれないし、その困難さやその社会的問題に気付いてもらえない。

 70才を超すと約半数が補聴器を必要とするほどになるので、高齢化率が20%を超えたわが国では、10人に2人が高齢者で、その約半分が難聴なので、全国で1千万人を、本県で10万人を超え、膨大な数になっている。

 これら難聴者の80~90%、本県では90~95%が補聴器不評のため使用せず聴えないままでいるので、コミュニケーション障害から閉じこもり、寝たきり、認知症などにつながる可能性が高く、恐らく難聴高齢者の三分の一から半分は寝たきり、認知症など、人間として生きていけなくなていると推定され、今後もこの数は増え続けよう。

 従って老人医療費が、介護費が高騰せざるを得ず、増税が当然のようになっているが、果たしてこれはやむを得ぬことだろうか?

 年とともに起こるいわゆる「老人性難聴」は、近年耳を養っている血管の動脈硬化であることが判明、その予防も停止も可能であるばかりでなく、音の歪(ひず)み(音を感じる細胞が動脈硬化、高脂血症ー血液の中の脂肪系物質の増加ーなどにより血液の流れが障害され、十分酸素や栄養をもらえなくなると障害され、音の濁り方や大きくなり方が変り、音がストレートに入らなくなるので、音が聴えても言葉がわからなくなる)が改善され、言葉がよく分かるようになることも分かってきている。

 ある程度以上に難聴が進むと、補聴器で対応ということになるが、近年の法律改正(薬事法や特定商取引に関する法律等の改正)また「補聴器相談医制度」の発足で,本人次第で適合補聴器が得られるようになっている。

 難聴高齢者については、早期発見・早期対応が重要である。いよいよ聴えが悪くなってからだと、補聴器をうまく使いこなせないし、補聴器を使う意欲がなくなる人がほとんどである。

 そこで、65才以上になったら毎年聴力検査を、いずれ住民検診に組み込むべきと提案しているが、関心を持つ市町村が出てきたことは喜ばしいことである。

 聴えが悪くなりだしたら、すぐ適合補聴器で対応すると、米大統領であったレーガン、クリントンのように、人生はそのまま継続・発展させられ、コミュニケーション良好で家族・社会と仲良く付き合っていけ、正確な情報によりその時代にマッチした生き方を模索、亡くなる直前まで自立、人生をエンジョイし、人間としての人生を全うすることができる。前述の「認知症・寝たきり」の人生と比較すると、一人一人にとって大きな差であり、難聴高齢者のほとんどが人間としての人生を全うできれば、当然老人医療費・介護費が軽減・不要となり、増税ではなく減税になり得ることを知るべきである。

  ※(平成19年12月17日 沖縄タイムス「論壇」投稿掲載)


  • カテゴリー: 論壇
  • 投稿日:2008年8月16日 土曜日

補聴支援ボランティアー創立後に地域へ広がり好評ー

2008年8月1日 金曜日

 昨年(平成5年:下記記述参照)6月に開設された「沖縄補聴相談センター」とともに、補聴ボランティア 組織「ゆんたくサークル」が発足して1年が経過した。

 このセンターならびにボランティア・サークルは、ともに前例がなく、全国で初めての試みである。とくに補聴支援ボランティアは全くの創設。診療を担当する医師、聴力検査・補聴器適合を行う医療言語聴覚療法士(これらも全部ボランティア)などからすると、こんな心強い支援者はいない。聴覚、補聴器、補聴器適合などに関する知識も増えて補聴器の使い方なども指導してもらえるようになってきたので、相談業務がかなりスピードアップされ、相談者からも大変喜ばれている。

 聴覚障害者は、人口の4%前後といわれているので、全国で4~5百万人、沖縄県で4~5万人と推測される。このうち全く聴えない全聾(ろう)者ならびに補聴器を使用しても言葉が理解出来ない高度難聴者(身体障害者2級以上の人)は、厚生省統計によれば全国で約11万人、沖縄県で約1200人であるから、聴覚障害者の大部分、すなわち96.7%は補聴器の対象者ということになり、この補聴支援ボランティアの活動がいかに重要であるか、いかに期待されているかが理解されよう。

 この補聴器適合の重要性がマスコミによって広く報道され、多くの県民の理解を得られたこと、そしてそれに呼応して多くの方がその恩恵に浴されたことは、非常に喜ばしいことである。そして、今やこの活動が地域社会に広がりつつあり、すでに浦添市では7月20日から社会福祉協議会が週1回の常設で相談業務を開始しており、さらに沖縄市などでも具体的な検討に入っている。

 すると、その地域地域で、それを支援するボランティアが育ってこなければならず、すでに浦添市では相談業務の開始と同時に、ボランティアの教育も始っている。

 わが国における補聴器をめぐる状況が現状より大きく変化しないとすれば、いや変化したとしても、聴覚障害者が、そしてそれを支援する家族や補聴支援ボランティアが、補聴器が適合しているか否か、基本的なことを理解して、自衛手段を持つようになることが、最終的な形として最も良いと思われる。

 すなわち、補聴器の周波数の特性と、補聴器と同じ単位の聴力検査(SPLメータ)の値とを、同じ図面上で直接対応させられるのだから、基本的な知識を持てば、補聴器が合っているか否か、基本的なことは十分判断できるわけで、それはそう困難なことではない。

 補聴器業界では自主規制として、この補聴器周波数特性測定装置などを整備しないと、販売店として許可しないようにすると聞く。その場合、聴覚障害者およびその関係者が基本的な知識を持てば、店頭でもその判断ができるようになるわけで、非常に良いことと思う。

 当センターや各地域の補聴相談コーナーで、補聴支援ボランティアが渇望されている。

   ※(平成6年8月6日、沖縄タイムス「論壇」投稿の掲載文です)


  • カテゴリー: 論壇
  • 投稿日:2008年8月1日 金曜日
最近の投稿
アーカイブ
カテゴリー