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集団補聴ー難聴高齢者の社会参加、活性化に重要性ー

2010年5月18日 火曜日

 難聴になって補聴器を使用しても、講演会などでは聴えない。補聴器は静かな所でも5メートル以上離れると聴えないからである。

 そこで、マイクの音を直接、補聴装置に入れて聴えるようにする集団補聴がある。

 集団補聴は、現在“磁気ループ”、“赤外線”と“FM”の3方式が知られている。

 先般、新設された、うるま市健康福祉センターの大ホールに設置された“赤外線集団補聴装置”のお披露目を兼ねて、“磁気ループ”と“FM”の装置も設置して、講演会を開催し、三方式について比較検討した。

 まず、赤外線方式は良好に聴えるが、遮断物があると、聴えなくなる。

 FM方式は、どうもその人の聴え方に補聴器が適合していないといけないようで、ろう学校など普段から適合補聴器を使用している人には良いが、講演会などで、その場ですぐ聴えるようにするのは難しいようだ。

 その点、磁気ループ方式は、その場で補聴器を“Tコイル”に切り換えるだけで、すぐ雑音も全くなく、とても良く聴える。

 日本の補聴器の約半数にTコイルが入っている。磁気発信装置も10メートル四方の空間で約10万円ぐらいで設置できる。

 赤外線やFM方式では発信装置(比較的高価)だけでなく、難聴者の数だけ受信装置を用意しなくてはならない。

 世界の主流は磁気ループ(国際的には「ヒアリング・ループ」)で、昨年9月、スイスで磁気ループの国際学会が開かれ、欧米先進15ヶ国(日本は補聴器普及が悪く対象外で不参加)で�補聴器や人工内耳などにはTコイルを内蔵する、�耳鼻科専門医などは患者にTコイルの利便性について説明する、�公共施設に磁気ループの設置の義務付け、�駅や銀行などの窓口等に磁気ループを設置することなど、小生が12年前の平成10年4月に琉球新報社の論壇に書かせて戴いた内容が今回決議されたと、これを外国人から通報された東京の区議会議員が通報してくれた。
磁気ループの磁気は微量で、心臓ペースメーカーに影響しないことは実証済みでもある。

 私共、「沖縄県難聴福祉を考える会」で、路線バスばかりでなく、観光バスに設置すると沖縄の観光推進につながるとか、カラオケに設置するなど、また東京では映画館に設置するよう協会に働きかけたり、増加する難聴高齢者の活性化の案が次々出ている。

    野田 寛 : 沖縄県難聴福祉を考える会 附属診療所
             「補聴相談のひろば」相談医
                (琉球大学名誉教授)


  • カテゴリー: 論壇
  • 投稿日:2010年5月18日 火曜日
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