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高齢難聴の予防を!難聴となれば適性対応で“人間としての人生を全う”しよう

2010年12月9日 木曜日

 補聴器は一人ひとり異る聴え方を正確に測定・分析、それに補聴器周波数特性(現在その補聴器がどの高さの音をどうカバーしているか測定できる)を対応させ、目でも確かめ、納得して戴きながら、適合・調整できる。メーカーによる音質の相異で、選別を要する。

 高齢社会に入り、七十歳以上で約半数に生じる高齢難聴(全国で約一千万人、当県で約十万人と膨大な数である)に適正に対応するため、十七年前より“補聴器適合運動”を、約十年前より「難聴者の会」として取り組んでいるが、“補聴器を売るため”と誤解されているようで、県民・国民に殆んど理解されず、今迄の経緯よりその気持はわかるが、殆んど効果を上げ得ていないのは誠に残念である。

 その結果、コミュニケーション障害より、閉じ込もり・寝たきり・認知症などに陥ち入り、“人間としての人生を全う”できなくなる人が増え(前記推定高齢難聴者の約三割)、介護の対象となることは非常に残念であると同時に、被介護状況となると、前述の如く膨大な数なので、介護施設、介護人など介護費も膨大となり、これを国民全体が支えて行くことになるので増税にならざるを得ない。

 従って、高齢難聴は個人々々の問題であると同時に、若年者を含め、国民全体の問題として対応すべき問題になって来ていることを充分に認識すべきである。

 近年、高齢難聴は耳を養っている血管の動脈硬化・血流障害と判明、従って高齢難聴の予防(百歳を越しても補聴器不要が可能)・進行停止(補聴器使用に当り、基本的聴えが良い方がうまく使える)・音の歪みの改善(音を感じる細胞への血流改善により、言葉がわかり易くなる)が可能となり、若者を含め殆んどがメタボリック症候群状況になっている我国では、高齢者だけでなく、国民全体がこの面でもその改善に取り組まなければならない状況にあり、この対応として高齢者の聴力検査を住民検診に組み込むことを検討し始めた市町村も出て来たことは喜ばしい。

 難聴となっても、前述の如く適合補聴器を御自身で納得して獲得出来るし、法律的にも「薬事法の改正」・「特定商取引に関する法律等の改正」、制度的にも「補聴器相談医制度」発足など、御自身が適正に対応すれば適合補聴器が獲得でき、悪質なトラブルに巻き込まれないよう保護されるようになって来ている。

 まず、予防を、難聴になっても適正対応で、“人間としての人生を全う”しよう!

NPO法人沖縄県難聴福祉を考える会附属診療所「補聴相談のひろば」
相談医 野田 寛(琉球大学名誉教授)


  • カテゴリー: 論壇
  • 投稿日:2010年12月9日 木曜日
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