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膨大な数の難聴高齢者対応の重要性

2011年2月15日 火曜日

 高齢化社会となり、難聴高齢者が全国で約一千万人、当県で約十万人と云うと、殆んどの方はそんなに多い?と驚かれるであろう。

 難聴者は、五体満足で、目に見えないから、また見えないように行動するからであろう。難聴のため会話が不自由になるので、人前に出なくなり、閉じ込もり、寝たきり、認知症などになり易くなる。

 高齢化率が二十%を越した我国では、五人に一人は高齢者、そして七十歳以上で約半数が補聴器が必要になる程に聴えが衰えて来るので、国民十人に一人は難聴高齢者である。

 この難聴高齢者の中で、補聴器で対応できている人は十~二十%、当県では五~十%(県内某市実態調査で実証)と、殆んどの難聴高齢者は聴えないままでいる。するとコミュニケーション障害より社会・家族より遊離・孤立し、精神的動物の人間は生きる自信・意欲を失い、閉じ込もり、寝たきり、認知症になる可能性が高くなり、要介護状態となる。

 これが前述の如く膨大な数なので、社会全体でその予防・対応を考えて行かないと、年々増税となり、国債も増える一方になろう。

 近年、この高齢者難聴(老人性難聴)の大部分は、耳を養っている血管の動脈硬化と判明、従って①予防が可能(食事のコントロールと運動励行による予防が可!百歳を越しても補聴器不要が可能)、②難聴進行停止(同じ補聴器を使用するのでも、基本的な聴えが良い方が、補聴器をうまく活用できる)、③音の歪み(ひず)みの改善(音を感じる細胞への血流が改善すると、細胞の機能が回復、言葉がわかり易くなる)などが可能となって来ているので、希望する自治会・老人クラブなどに出張、講話と聴力検査を行い、一人々々指導をしているが、関心の高い地域ではいずれ住民検診に組み込むよう提案している。

 難聴になったら、なるたけ早く適合補聴器で対応、(いよいよ聴えが悪くなってからでは、補聴器をうまく使いこなせないし、使う意欲を失ってしまう人が多いから―前述の如く、コミュニケーション障害より生きる自信・意欲を失ってしまうため)、コミュニケーション良好で家族・社会と仲良く付き合い、人生をエンジョイ、人生終焉直前まで自立し、“人間としての人生を全う”してもらうよう、希望する県内十一ヶ所の社会福祉協議会・老人福祉センターで無料の補聴相談も行っている。

 一度しかない人生、大切に有意義に、現役後も社会貢献など生きがいを持てると良い。

NPO法人沖縄県難聴福祉を考える会附属診療所「補聴相談のひろば」

相談医 野田 寛(琉球大学名誉教授)


  • カテゴリー: 論壇
  • 投稿日:2011年2月15日 火曜日
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