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高齢者難聴は予防が可!難聴には適合補聴器で充実した人生を!

2011年4月18日 月曜日

 補聴器を買ったが、三個も四個も箪笥の中などにしまっていると云う話をよく耳にする。
 これは、自分の聴えに補聴器が合っているか否かを確認しなかったり、貸し出してもらい、自分の生活の場で使えるか否かを検討しておかなかったことによるが、平成十七年四月の薬事法の改正により、「販売者は少なくとも三年間は記録に残し、苦情に対応すること」となっているので、満足する迄通って、調整してもらうと良い。
 高齢社会に入り、難聴高齢者が増加している。七十歳を越すと、約半数が補聴器を必要とする程になるので、全国で一千万人、当県で約十万人と推測される。これら難聴高齢者の中で、補聴器対応ができている人は全国で十~ニ十%(県内某市実態調査で実証)と、殆んどが“聴えないままでいる”ことになる。
 年齢が進んで聴えないままでいると、コミュニケーション障害より、家族・社会より遊離・孤立し、精神的動物である人間は生きる自信・意欲を失い、閉じ込もり、寝たきり、認知症などになる可能性が高くなり、そしていずれ要介護状態となろう。前述の如く膨大な数なので、個々の問題とは云うものの、社会全体の問題になって来ている現状をよく認識し、対応して行く必要がある。介護のための費用により、“増税”・“国債の増加”につながらないようにしたいものである。
 近年、高齢者難聴は耳を養っている血管の動脈硬化、血流障害によると判明、従って食事のコントロール、運動の励行により、①予防(正常時より心掛けていると、百歳を越しても補聴器不要にできる)、②難聴進行停止(補聴器も聴えが良い方がうまく使える)、③言葉の理解力の改善(聴覚細胞が、血流障害で酸素・栄養を充分もらえないと、音が歪(ひず)んで聴えるようになり、音は聴えても、言葉がわからないようになるが、これが改善する)ことが実証されて来ている。
 まず難聴にならないように、聴えが悪くなり出したら、適合補聴器にてすぐ対応(早期発見・早期対応-いよいよ聴えが悪くなってから補聴器を適合しても、うまく使いこなせないし、使う意欲がなくなっていることが多い-コミュニケーション障害より生きる自信・意欲を失うため)する必要がある。
 超高齢化時代、永い現役後の人生も、大切に有意義に生きて、介護など他に世話にならず、むしろ社会貢献などが可能になると良い。

NPO法人沖縄県難聴福祉を考える会
附属診療所「補聴相談のひろば」
相談医・野田 寛(琉球大学名誉教授)


  • カテゴリー: 論壇
  • 投稿日:2011年4月18日 月曜日
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