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高齢難聴に特徴的な聴えの歪みは、改善可能で言葉がわかり易くなり得る

2011年10月25日 火曜日

 「音は聴えるが、言葉がわからない!」は高齢者難聴に特徴的だが、難聴を感じなくても、六十五才以上ぐらいから、これを感じる人が多いのではないか! テレビも聴えているが、言葉がはっきりしないので音量を上げると、゛うるさい!″と云われてしまうなど。
 年齢が進むにつれ聴えが衰えてくる難聴(老人性難聴)は、耳を養っている血管の動脈硬化によるものが大部分であることが近年はっきりしてきた。内耳の音を受け取る細胞(聴覚細胞)に、動脈硬化で血管が硬くなり、血液が充分流れなくなり、しかも高脂血症(コレステロール、中性脂肪など脂質系物質が血中に増えてくる状態)にて、いわゆる゛ドロドロの血液″になって充分血液が流れなくなり、酸素、栄養を充分もらえなくなると、聴覚細胞が障害を起し、音の大きくなり方などが変り、音がストレートに入って来なくなり、聴えに゛歪み″を生じ、音は聴えるが言葉がわからない状態となる。この聴えの歪みは、測定可能で、即ちこの音に関しては何倍になっているか測定できるし、その全体像として、言葉の理解力の検査(語音明瞭度検査)にて、どのくらい言葉がわかっているか、パーセントで表示できる(正常な人は当然百%だが、これが七十%、六十%、場合によっては四十%、三十%、それ以下になることもある)―両耳の言葉の理解度が五十%以下になると、身体障害者四級に認定され、5年毎に補聴器を支給してもれえる―。(ちなみに、通常の聴力検査にて、両耳の聴えが七十デシベル以上になると、身体障害者六~二級に認定され、補聴器の支給を受けられる。)
 この聴えの歪みは、内耳の血液の流れが改善されると、良くなり得ることが、最近ハッキリして来た。初診時、聴えが悪くなり、゛人生終り″のような顔をしていたのが、ニコニコし出す人が出て来て、前述の検査を行うと、双方共に良くなっている。そこで、内耳血流を良くするよう、食事のコントロール、運動の励行を指示しているが、これにて、私共NPO法人の附属診療所の患者さんの半分近くが改善し出し、難聴の進行、言葉の理解力の悪化が、九十%以上の患者さんでなくなっていることは、誠に喜ばしいことである。
 (若年時より、これを意識していると、゛百才越しても補聴器不要″となろう。)
 老人性難聴は年々悪くなるのが常識だったのが、このように良くなる患者さんが増え、希望の持てる診療になっている昨今である。

NPO法人沖縄県難聴福祉を考える会
附属診療所「補聴相談のひろば」
相談医・野田 寛(琉球大学名誉教授)


  • カテゴリー: 論壇
  • 投稿日:2011年10月25日 火曜日
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