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人生を駄目にしてしまう高齢者難聴の不適切な対応

2012年1月17日 火曜日

 年齢が進むにつれ聴えが衰えてくる。これに適切に対応しないと、コミュニケーション障害から家族・社会より遊離・孤立し、精神的動物の人間は生きて行く意欲・自信を失い、閉じ込もり、寝たきり、認知症などになり、人生を駄目にしてしまうことになる!
 聴えの衰えを感じ出した時に、適切な対応をすると、人生はそのまま継続、人によっては発展もさせられる。コミュニケーション良好で、家族・社会と仲良く付き合い、人生をエンジョイ、“人間としての人生を全うする”ことが出来る。この良い例は、レーガン、クリントン、ブッシュで、この三人は大統領時代、補聴器を装用していたことが、テレビ映像、ホームページなどで確認されている。
 従って、聴えの衰えを自覚し出した時に、適切に対応するか否かで、その人のその後の人生が変ってしまう可能性がある。
 聴え方は一人ひとり異なるので、まず正確に測定、これに補聴器を適合・調整して行くのだが、メーカーによって音質が異なるので、自分の耳で確認して購入する必要がある。その人に適合しているか否かは、本人にしかわからないからである。
 近年、この高齢難聴の大部分は、耳を養っている血管の動脈硬化であることが判明している。従って予防が可能であると同時に、進行も止められる。同じ補聴器を使うのでも、基本的な聴えが良い方が、補聴器をうまく使えるので、この“進行停止”も重要である。
 更に最近、内耳の血液の流れが改善すると、音を感じる細胞の機能が回復、“音の歪み”(音の大きくなり方、濁り方)が改善し、言葉がわかり易くなることもわかって来た。この音の歪み度は測定できるし、その全体像としての言葉の理解力の検査にて確認できる。
 某離島では、フェリーで検診車が来島、聴力検査も行い、異常の指摘を受けた五十才前後の方々に、高齢難聴の予防のための食事のコントロール及び運動の励行を指導する機会を得ている。いずれこの離島では、高齢難聴が殆んどなくなることを期待している。
 高齢化率が二十%を越した我国、三千万人弱の高齢者の約半数(七十才以上で約半数―全国で一千万人以上、当県で十万人以上)が難聴、これら高齢難聴者の適合補聴器使用率は全国で十~二十%、当県で五~十%、これら難聴の人々の大部分の人生が駄目になり、人間としての人生を全う出来ない現実がある。そして、その人達の介護は誰が担う?増税?

NPO法人沖縄県難聴福祉を考える会
附属診療所「補聴相談のひろば」
相談医・野田 寛(琉球大学名誉教授)


  • カテゴリー: 論壇
  • 投稿日:2012年1月17日 火曜日
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