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高齢難聴対応の重要性―一人ひとりの人生を大事にし、介護費上昇、増税を回避する―

2012年11月7日 水曜日

 介護保険料がまたあがる。今後もあがり続けるであろう。そして、このことは、二十年以上前より予想されていたことで、こうしないため「補聴器適合運動」を行って来たが、県民、行政、マスメディアに理解されず、殆んど改善していないのは誠に残念である。
 年と共に聴えが衰えてくる。早いか遅いか個人差があるだけで、殆んどの人に起る。七十歳以上で約半数が、九十歳以上で殆んどが補聴器を必要とするようになる。この補聴器が「適合制度」が確立されていないわが国では、評判が非常に悪く、必要な人の十~二十%(当県では五~十%)しか使われていない。年をとって聴えないままでいると、コミュニケーション障害より、家族・社会より遊離・孤立し、精神的な動物である人間は生きて行く意欲・自信を失い、閉じ込もり、寝たきり、認知症になる可能性が高くなり、要介護状態となる。
 先月、宮崎県より認知症の研究者が私共のホームページを見て「認知症の八十八%が難聴」とのデーターを持参し、「認知症と難聴が関係あるのでは」と来訪、「難聴の放置」が認知症の大きな要因になると推察された。
 そして、その数は膨大である。高齢化率が二十%を越した我が国では、先般の報道通り、三千万人近い高齢者が居り、その約半分が難聴、即ち少なく見積もっても、全国で一千万人以上、当県で十万人以上と推測される!この三~四割は寝たきり、認知症など、要介護状態にあると推測されるので、施設、介護費用員の充足などを含め、膨大な費用となり、介護保険の値上げだけでなく、増税にならざるを得ない、増税を回避すると、国債の増加となり、すぐギリシャのようにはならない迄も、その方向に進む。
 そこで、まず難聴になったら適合補聴器にて人生を継続、発展させ、人生をエンジョイ、亡なる直前迄自立、人生を全うするようにする必要がある。
 近年、この高齢者難聴の大部分は耳を養っている血管の動脈硬化と判明しているので、これを予防(知識を普及させ、住民検診で「聴力検査」で指導、難聴となれば「補聴器適合」を行うことにより、高齢者の殆んどが亡なる直前迄自立、人生をエンジョイ、人間としての人生を全うするように出来、介護費は殆んど不要となり、高齢者が元気であれば医療費も軽減され、無駄な出費がなくなり、国家財政が改善されるようになろう!

NPO法人沖縄県難聴福祉を考える会
附属診療所「補聴相談のひろば」
相談医・野田 寛(琉球大学名誉教授)


  • カテゴリー: 論壇
  • 投稿日:2012年11月7日 水曜日
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