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【論壇】身体障害者対応にも格差があるのか

2013年2月14日 木曜日

 私共、特定非営利活動(NPO)法人「沖縄県難聴福祉を考える会」は、附属診療所「補聴相談のひろば」や補聴相談を担当する四病院、社会福祉協議会や老人福祉センターなど十ヶ所の無料相談で年間百名前後の「聴覚障害による身体障害者」認定を行い、それに伴う補装具(補聴器)申請(五年毎に更新される)を百五十名前後について行っている(当県は第二次世界大戦の諸事情により、医学・医療が遅れていたためか、「聴覚障害による身体障害者認定」は、全国の半分と少ない)が、国が定めた基準に達していなくても、生活に支障を来たすようになったり、コミュニケーション障害により仕事が継続できなくなったり、人との話がうまく行かなくなり、活動が制限されている人も多い。
 十数年前、東京都の五区と一市が、六十五才以上になり、耳鼻咽喉科医が「補聴器必要」との診断で、補聴器が支給されていたので、県に要望したが、「沖縄県は貧之県だから」と、検討もしてもらえなかったことを思い出す。 
 高齢化社会に入り、高齢難聴者が増えて来ている。七十歳を越すと約半数が難聴となるので、膨大な数の高齢難聴者が存在する。即ち、高齢化率が二十%を越した我国では、約二千九百万人の高齢者が居り、その約半数が高齢難聴者なので少なくとも、全国で一千万人以上、当県でも十万人以上は存在する。
 しかし、補聴器装用者は補聴器の評判が悪いため、全国で十~二十%、当県で五~十%と殆んどの高齢難聴者は聴えないままでいる。
 年令が進んで聴えないままでいると、コミュニケーション障害から、家族・社会より遊離・孤立し、精神的動物の人間は生きて行く自信・意欲を失い、閉じ込もり、寝たきり、認知症になる可能性が高くなり、要介護状態となり、これが前述の如く膨大な数になるので、消費税など増税にならざるを得ない。
 従って、身体障害者に限らず、補聴器支給或いは廉価で購入出来るようにし、“人間としての人生を全うしてもらう必要がある。
当県では、一~二の市町村で身体障害者以外で補聴器購入者を補助していたところもあったが、現在は全くなくなっている。
 一方、東京都は、現在九区に少し拡がって来て居り、各地の難聴者のグループを中心に要望が広がっているようである。
 当県の難聴者も、力を合わせて各市町村で、全県で要望し、本人の幸せと要介護者減少のため、要求を強めて行くべきと考える。

NPO法人沖縄県難聴福祉を考える会
附属診療所「補聴相談のひろば」
相談医・野田 寛(琉球大学名誉教授)
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  • カテゴリー: 論壇
  • 投稿日:2013年2月14日 木曜日
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