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【論壇】補聴器活用の重要性

2017年6月16日 金曜日

 一般に、年と共に聴えが衰えてくる。七十才以上で約半数が、九十才以上で殆んどが補聴器を必要とするになるので、高齢化社会が進行した現在、膨大な数になっている。

 しかし、難聴を自覚し始めても、補聴器をつけたがらない人が多い。恥ずかしいから、格好が悪いとか、人に“ミンカー”と云われたくないとか、補聴器は高いし、購入しても、うまく使えないなど評判が悪いからなど!!

 このようにして聴えないままでいると、周囲から段々相手にされなくなり、友人も減って行き、いずれは社会・家族より遊離・孤立し、閉じ込もり、寝たきり、認知症などになり、要介護状態になり易くなる(日本の認知症の八割は高齢難聴者の放置によると考えられる、従って、これを充分理解し、自分を認知症などに追い込まないようにしてほしい)。

 まず、この高齢者難聴の大部分は、耳を養っている血管の動脈硬化によるものなので、予防が可能である。従って、理想的には、五十才台後半ぐらいからは、自覚はなくても、聴覚分析を受け、動脈硬化による変化が始まっていれば、それに応じた対応をしていると、私共が現在提唱している“百才を越しても補聴器不要”が可能となろう!

 補聴器の要否は、補聴器の貸し出しを受け、あった方が良いかを判定すると良い。

 補聴器があった方が良いと感じた時は、メーカーにより音質が異なるので、どの社のものも同じと云う人もないではないが、貸し出しを受け、どのメーカーのものが合うか確認する(県内には日本の代表的補聴器十二社のものを順繰りに貸し出すところもある)。

 補聴器を付けたら若い時に戻るわけではない。まず、補聴器の使い方を良く指導してもらう(選別の段階により始っているが)、特に電話は補聴器により、音の取り入れ場所が異なるので、それに合わせなければならない。

 電話やテレビの音が、補聴器だけでは不充分な場合は、集団補聴装置の磁気ループなどがあり、補聴器を磁気ループ用に切り替えると(日本の補聴器の半分にこの切り替え装置がついている)。約一万円程度の費用で整備、電話で話が出来、テレビの声を家族と同じ音量で聴えるように出来る (県内には体験者が補聴器の使い方や、磁気ループ設置などをアドバイスしてくれるところもある)。

 長寿社会、百歳は当り前、百二十才迄は可能性があるので、それまで自立して、人間としての人生を全うしてほしいものである。

特定非営利活動(NPO)法人沖縄県難聴福祉を考える会
附属診療所「補聴相談のひろば」
相談医・野田 寛(琉球大学名誉教授)


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