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【論壇】高齢難聴者の特徴ー音は聴こえるが、言葉がわからないー

2019年7月2日 火曜日

 日本の認知症の八割は、高齢難聴の放置によると、九州の数施設で実証されて来ている。

 高齢化社会が進行、高齢難聴者が増加している。七十歳以上で約半数が、九十歳以上で殆んどが難聴となる。個人差はあるものの、殆んどの人に起る。

 高齢化率が二十%を越した我が国では、高齢難聴者は全国で千五百~二千万人、当県で十五~二十万人と推計される。このうち、適合補聴器が得られているのは、全国で十~二十%、当県で五~十%、従って大部分の高齢難聴者は聴えないままでいるので、このうちの三~四割、全国で千五百~二千万人、当県で十五~二十万人がコミュニケーション障害より、社会・家族より遊離・孤立、精神的動物の人間は生きがい、生きる意欲を失い、閉じ込もり、寝たきり、認知症などに落込り、要介護状態となる。即ち、これら難聴者の三~四割、全国で四~五百万人、当県で四~五万人が要介護状態にあり、個々の家族で面倒をみる状態でなくなりつつある現在、地域社会か、国が面倒をみることになるので、増税にならざるを得ないし、国債も増えて、次の世代に迄、負担が及ぶことになる。

 この高齢難聴者の大部分は、耳の血管の動脈硬化による音を感じる細胞の障害なので、食事のコントロール、運動の励行により、予防が可能であり、百歳を越しても補聴器不用に出来るし、停止も可能で、同じ補聴器を使うのでも、基本的な聴えが良い方が、補聴器を上手く使えるので、これも重要である。

 “音は聴えるが、言葉がわからない”が高齢難聴者の特徴で、これも耳の血管の動脈硬化による血流障害で、音を感じる細胞に充分血液が流れて行かないため、機能障害を起し、音の大きくなり方、濁り方が変わる。これは測定可能で、正常の人が「1」大きくなったと感じるのが、二~三倍、場合によっては五~十倍となり、音がストレートに入ってこないため、話し言葉の理解力が悪化する。この全体像は言葉の理解力の検査にて、五十音を使って、何%理解出来るかを検査する。

 この音の歪みも、食事のコントロール、運動の励行により、内耳の血液の流れが改善されると改善し得る。
この啓蒙活動はすでに二十年以上前より、行われているが、殆んど衆知されず、効果が挙がっていないのは何故であろうか!?

 県民は当然、特に高齢難聴者、その家族はこれを熟知し、対応すべきである。

特定非営利活動(NPO)法人沖縄県難聴福祉を考える会
附属診療所「補聴相談のひろば」
相談医・野田 寛(琉球大学名誉教授


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  • 投稿日:2019年7月2日 火曜日
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