■ 月別アーカイブ: 8月 2019

【論壇】難聴にならないように、悪化させないようにするには!?

2019年8月28日 水曜日

 年をとるに従い、聴えが悪くなる人が多くなる。高齢化社会が進行している現在、周囲に難聴の方が増えて来ていることを、実感している人が多いと思う。

 この大部分は、耳を養っている血管の動脈硬化によることがはっきりして来て居り、飽食時代の現在、殆んどの方が遅かれ早かれ難聴になると思われる。

 そして、単に聴えなくなるだけでなく、言葉がわかりにくくなることは、六十台後半ぐらいから、感じている人が多いと思う。即ち、「音は聴えるが、言葉がわからない!」。

 内耳動脈の硬化は四十歳台後半ぐらいから起り出すので、人間ドッグなどで高い音に難聴を指摘されている人が多いと思う。

 従って、四十歳台ぐらいから、食事のコントロール・運動の励行を行い、動脈硬化を進行させないようにすると、私共が推奨するように、「百歳を越しても、補聴器を不要にしよう」が実現し得るのである。

 例え、難聴が始っても、食事のコントロールと運動の励行で、動脈硬化を進行させないようにすることが重要で、同じ補聴器を使用するのでも、聴えの良い方が補聴器をうまく使えるからである。
 
 高齢者難聴の特徴は、「音は聴えるが、言葉がわからない」ことで、これは内耳を養う血管の動脈硬化が進行して、音を受け取る細胞に充分血液が流れなくなり、酸素・栄養を充分もらえない細胞が機能障害を起し、音の歪み(ひずみ)を起し、音の大きくなり方、濁り方が変り、言葉の理解力が悪化する。

 この音の歪みは測定可能で、その音について数~十数倍になっていることがわかるし、その全体像として言葉の理解力を測定(日本では五十音を使って行う)、正常者は百%だが、それが段々悪化して、三~二十%以下になると、言葉が殆んどわからなくなり、補聴器は音を大きくするだけなので、補聴器を使用しても、会話は不可能と云うことも起って来る。

 補聴先進国のドイツでは、一年に一度の補聴器調整が法律になっているが、ドイツ人の食事はカロリー値が高いので、動脈硬化が進行、難聴が進行するので補聴器の調整をし直さなければならなくなる。従って私共は半年毎の聴覚の測定を行い、その悪化傾向は音の歪みの検査等でわかるので、厳重注意をしている。従って定期的検査を受けている患者さんの九十%以上は、この約十年難聴は進行していないので、これが如何に重要かがわかる。

特定非営利活動(NPO)法人沖縄県難聴福祉を考える会
附属診療所「補聴相談のひろば」
相談医・野田 寛(琉球大学名誉教授


最近の投稿
アーカイブ
カテゴリー