補聴支援ボランティアー創立後に地域へ広がり好評ー

2008年8月1日 金曜日

 昨年(平成5年:下記記述参照)6月に開設された「沖縄補聴相談センター」とともに、補聴ボランティア 組織「ゆんたくサークル」が発足して1年が経過した。

 このセンターならびにボランティア・サークルは、ともに前例がなく、全国で初めての試みである。とくに補聴支援ボランティアは全くの創設。診療を担当する医師、聴力検査・補聴器適合を行う医療言語聴覚療法士(これらも全部ボランティア)などからすると、こんな心強い支援者はいない。聴覚、補聴器、補聴器適合などに関する知識も増えて補聴器の使い方なども指導してもらえるようになってきたので、相談業務がかなりスピードアップされ、相談者からも大変喜ばれている。

 聴覚障害者は、人口の4%前後といわれているので、全国で4~5百万人、沖縄県で4~5万人と推測される。このうち全く聴えない全聾(ろう)者ならびに補聴器を使用しても言葉が理解出来ない高度難聴者(身体障害者2級以上の人)は、厚生省統計によれば全国で約11万人、沖縄県で約1200人であるから、聴覚障害者の大部分、すなわち96.7%は補聴器の対象者ということになり、この補聴支援ボランティアの活動がいかに重要であるか、いかに期待されているかが理解されよう。

 この補聴器適合の重要性がマスコミによって広く報道され、多くの県民の理解を得られたこと、そしてそれに呼応して多くの方がその恩恵に浴されたことは、非常に喜ばしいことである。そして、今やこの活動が地域社会に広がりつつあり、すでに浦添市では7月20日から社会福祉協議会が週1回の常設で相談業務を開始しており、さらに沖縄市などでも具体的な検討に入っている。

 すると、その地域地域で、それを支援するボランティアが育ってこなければならず、すでに浦添市では相談業務の開始と同時に、ボランティアの教育も始っている。

 わが国における補聴器をめぐる状況が現状より大きく変化しないとすれば、いや変化したとしても、聴覚障害者が、そしてそれを支援する家族や補聴支援ボランティアが、補聴器が適合しているか否か、基本的なことを理解して、自衛手段を持つようになることが、最終的な形として最も良いと思われる。

 すなわち、補聴器の周波数の特性と、補聴器と同じ単位の聴力検査(SPLメータ)の値とを、同じ図面上で直接対応させられるのだから、基本的な知識を持てば、補聴器が合っているか否か、基本的なことは十分判断できるわけで、それはそう困難なことではない。

 補聴器業界では自主規制として、この補聴器周波数特性測定装置などを整備しないと、販売店として許可しないようにすると聞く。その場合、聴覚障害者およびその関係者が基本的な知識を持てば、店頭でもその判断ができるようになるわけで、非常に良いことと思う。

 当センターや各地域の補聴相談コーナーで、補聴支援ボランティアが渇望されている。

   ※(平成6年8月6日、沖縄タイムス「論壇」投稿の掲載文です)


  • カテゴリー: 論壇
  • 投稿日:2008年8月1日 金曜日

コメントは受け付けていません。

最近の投稿
アーカイブ
カテゴリー