高齢難聴にならないように、なっても人間としての人生を全う出来るように!

2008年4月30日 水曜日

 高齢社会に突入、難聴高齢者が増えている。七十才以上で約半数が補聴器を必要とするようになるので、高齢化率が二十%を越えた我国では、国民十人中二人が高齢者、その半分、即ち十人に一人は難聴なので、全国で一千万人以上、当県では十万人以上と、膨大な数になって居り、その八十~九十%(当県では九十~九十五%)が適合補聴器を得られず、聴えないままでいるので、コミュニケーション障害より閉じ込もり、寝たきり、認知症に繋がってしまっている。

 しかし、この事実に気付き、その対応の重要性を認識している人が殆どいない。

 未だに年を取れば聴えなくなるのは当たり前で、それで人とのコミュニケーションに不自由し出し、閉じ込もりから、寝たきり、認知症になり、”人間として生きて行けなくなる”のが当然のことと思われている。

 医療・医学は進歩し、年齢による難聴は耳を養っている血管の動脈硬化であることが判明、従って難聴の予防も、進行停止だけでなく、血流が音を感じる細胞に充分に来なくなると生じる音の歪(ひず)み(音の大きくなり方や濁り方が変り、音は聴えても言葉がよくわからなくなる)も食事をコントロール、よく運動して血流を改善させると、音の歪みがなくなり、言葉がよくわかるようになることもわかって来ている。従って、若年、中年時よりこれを心得ていると、百才を越しても補聴器不要になり得る時代になっているのである。

 すでに、補聴器を必要とする程に聴えが悪化してしまっている人々には、一人ひとり異なる聴え方に補聴器を適合・調整する技術も確立されて居り、法律的にも(薬事法改正など)、制度的にも(補聴器相談医の制度化)、本人が真剣に適合補聴器を得ようとすれば獲得出来る時代になっているのである。

 近年、私共が提唱しているのは「難聴高齢者の早期発見・早期対応」である。いよいよ聴えが悪くなってから補聴器を適合しても、うまく使いこなせないし、使おうとする意欲がなくなっているからである。難聴によるコミュニケーション障害により生きて行く自信・意欲を失ってしまうためであろう。

 そこで、六十五才以上で毎年聴力検査を、いずれ住民検診に組み込むことを提唱している。

 聴えが悪くなり出した時に、すぐ適合補聴器で対応できれば、レーガン・クリントンのように(この両大統領は大統領時代にすでに補聴器を装着していた)、人生はそのまま継続して行け、人によっては発展もさせられる。 コミュニケーション良好で家族・社会と仲良く付き合って行け、”人間としての人生を全うする”ことが出来る。

 「寝たきり・認知症」で人間として生きていないのと、「人間としての人生を全う出来る」のとでは、一人々々の人生にとって大変な差であり、国民全体がこれを認識し、殆どの高齢者が人間として人生を楽しみ全うしてほしいものである。


  • カテゴリー: 論壇
  • 投稿日:2008年4月30日 水曜日

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