【論壇】補聴器をつかいこなすために知っておきたいこと

2017年5月10日 水曜日

 高齢化社会が進行、高齢難聴者が増えている。七十才以上で約半数が、九十才以上で殆どが補聴器を必要とするようになる。早いか遅いか個人差があるが、殆どの人がなる。

 そこで、補聴器と云うことになるが、補聴器はただ付ければ良いと云うものではない。

 メーカーによって音質が異なるので、どれでも変りないと云う人もあるが、その補聴器で良いのかどうかは、御本人にしかわからない。
そこで、まず聴え方を正確に測定し、それに合うよう補聴器を調整し、貸し出しを受け、そのメーカーのもので良いかどうか確認する必要がある(県内には、日本に流通する十二社の補聴器を貸し出すところもある)。

 次に、補聴器の種類により異なるが、その装着の仕方や調整の仕方、また電話の使い方(補聴器により、音を取り入れる部位が異なる)など、よく指導をしてもらう(装用指導)(県内には体験者が色々とアドバイス・指導をしてくれるところもある)。

 難聴が進んでいる時には、家族や周囲の人達がこれをよく理解し、特に当初はなるたけ真正面から、必要により口唇が見えるようにして、ハッキリ、ユックリ話してあげる必要がある。(絶対怒鳴ってはいけない!聴いてやるかとの気にさせてしまう可能性がある!)。

 補聴器を装着したら、若い時に戻るわけではない!補聴器の限界があり、一般に五メートル以上離れると、良く聴き取れない。従って講演会などでは話し手の五メートル以内にいること、大きな会場でスピーカーが何処に設置されているかを聞いて、その五メートル以内に入るようにすると良い。
 
 これを解決する“磁気ループ”と云う集団補聴装置などがあり、マイクの声を直接補聴器の中に入れられる(日本の補聴器の約半数にこの切替装置がついている)。(集団補聴には、赤外線方式やFM方式もあるが一般に実用的ではない)。

 この磁気ループはテレビや電話に一万円以内の安価な装置で活用でき、前述の体験者が設置まで協力してくれるところもある。
近年、高齢者難聴の大部分は、耳を養っている血管の動脈硬化であることが判明して来ているので、難聴になってからではなく、五十才台頃より聴覚分析を受け、百才を越しても難聴にならないように指導してもらえるし、悪くなっても、悪化させないようにでき、補聴器の買い替えをしなくて済むようにできる。

特定非営利活動(NPO)法人沖縄県難聴福祉を考える会
附属診療所「補聴相談のひろば」
相談医・野田 寛(琉球大学名誉教授)


  • カテゴリー: 論壇
  • 投稿日:2017年5月10日 水曜日

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