高齢社会に増える難聴高齢者対策 -家族・社会の対応の重要性ー

2008年2月4日 月曜日

 年と共に聴えが衰えてくる。早いか遅いか個人差があるだけで、殆どの人に起る。70才以上で約半数が補聴器を必要とする程になるので、高齢化率が20%を越えた我国ではその約半数が難聴で、全国で1千万人を、当県でも10万人を越え、膨大な数になっている。

 しかし、殆どの人がこのように多数とは気がついていない。自分の周囲の父母、祖父母、叔父、叔母などにいるが、それは自分の周囲の極一部のことと思っている。

 確かに難聴者は、視覚障害や肢体不自由者のように、目に見えない。そればかりでなく、人とのコミュニケーションがうまく行かなくなるので、人に話しかけられないよう、人前に出なくなる。そして何の対応もしないと、閉じ込もり、寝たきり、認知症などに繋がる可能性が高くなり、人間として生きて行けなくなる可能性へと追い込まれて行く。前述の如く膨大な数なので、これに対応しないと、老人医療費・介護費に係る重大問題なのに、現在殆ど関心を持たれていないので、増税など社会負担が急増するのを避けられない状況にあることは、実に困ったことである。

 一言二言話すと難聴・難聴気味がすぐわかることなので、周囲の人がわかり易いように真正面から口をみせて、ハッキリ・ユックリ話す心遣いが必要だし、それでも本人並びに周囲の人が会話に不自由な時には、一人ひとり異なる聴え方に適合・調整した補聴器などを得られるように対応してあげる必要がある。

 薬事法の改正や補聴器相談医制度の発足など、適合補聴器が得られ易くなっているので、情報社会、それら可能にする施設を検索し、充分対応してあげてほしいものである。

 補聴器は長い間、販売規制などなく単なる商品として売られていたため、購入しても不適合のため使えず、評判が非常に悪かったのも事実だが、難聴者当人も良く聴えないからと簡単に諦めないで、医師、業者にどのように具合が悪いのかを訴え(聴え方は一人ひとり異なり、どの高さの音がどのくらい聴えないだけでなく、内耳の約1万の聴覚細胞の音の歪(ひず)みー音の大きくなり方、濁り方が変って来るーのため音は聴えても言葉がわからないことが起り、基本の周波数(音の高さ)についてはその歪み度は測定出来るが、1万個は測れず、これは当人の音感覚と云うべきもので当人しかわからない)、良く抵抗なく聴えるようになるまで訴え続けないとならないし、周囲の人も日常生活が改善されるほどに良く会話が出来るようになるまで訴え続けさせるようにしてあげなければならない。

 このように、聴え方が不自由し出したらすず対応し、人生をそのまま継続・発展させ、コミュニケーション良好で、家族・社会と仲良く付き合い、人生をエンジョイし、亡くなる直前まで自立、人間としての人生を全うしてもらうことが可能で、これにより老人医療費が減少し、介護費が殆ど不要になり得ることが可能なことを知るべきである。


  • カテゴリー: 論壇
  • 投稿日:2008年2月4日 月曜日

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