正しい補聴器の選び方―音質、自分の耳で確かめて―

2010年8月17日 火曜日

 補聴器の評判が悪く、高齢化社会に入り難聴高齢者が増加しているのに、ほとんど使われず、聞こえないままで人生を狂わせている人が多い。私共の活動も補聴器を売るためと誤解され、活用されていないのは非常に残念である。

 私共の会は難聴者の会で、NPO法人に認証され、県の指導により日本で唯一の「診療所を有するNPO法人」である。診療所は「保険診療」であるが、ほか11ヵ所の社会福祉協議会(石垣市含む)および老人福祉センターは、あらかじめ中央保健所を通じ県知事に届け出て、出張診療として従来通り無料相談で行えるようにしていただいている。

 また、県立中部病院、ちゅら海クリニック(北部医師会病院)、久米島病院、与論病院で診療を行っており、これは保険診療である。

 さらに、老人クラブ、自治会などに「耳の健康講話と聴力検査」(中央保健所を通じ県知事に届け出る)を、数年前から「高齢難聴者の早期発見・早期対応」(いよいよ聞こえが悪くなってからでは、生きる自信・意欲を失うためか、補聴器を使いこなせないし、使う意欲がなくなる)、昨年後半より「百歳を超しても補聴器不要としよう」(高齢者難聴は内耳動脈の硬化と判明、従って、予防・進行停止―補聴器も基本的な聞こえが良い方がうまく使える―、音のひずみの改善―動脈硬化による、血流障害による聞こえの細胞の障害が改善され、音のゆがみ、すなわち音の濁り方、大きくなり方が改善され、言葉がよく分かるようになる。すなわち「音は聞こえるが言葉がわからない」が改善される―)を題目に希望された県内外180ヵ所で行い、(県、県社会福祉協議会などの推薦により各種助成団体より補助金を受けていることもあり無料)、その結果で一人一人を指導する。

 診療所を中心に、前記医療機関、社会福祉協議会、老人福祉センターなどで行っている「補聴相談」は、2~4週単位で補聴器を貸し出し、必要か否か、家に帰ると音の環境が異なるので、そこでどう聞こえたかにより調整を繰り返し、またメーカーにより音質が異なるので、自分に合うかどうかを聞き比べを繰り返し、従って人によっては10回以上通所される方もあり、自分に合う補聴器の選び方を勉強してもらっている。

 補聴器が合っているか否かは本人にしか分からない。特に内耳血流の状況により、音のひずみなどその日その日で変わる人もあり、従って、私共の難聴会員全員が強く待ち望んでいるのは、自分で調節できる補聴器の出現である。

NPO法人沖縄県難聴福祉を考える会附属診療所「補聴相談のひろば」
相談医、琉球大学名誉教授  野田 寛
2010年7月15日(木曜日)琉球新報、論壇 掲載


  • カテゴリー: 論壇
  • 投稿日:2010年8月17日 火曜日

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