不要補聴器のリサイクルを!

2010年8月2日 月曜日

 先般、私共“沖縄県難聴福祉を考える会”の記事を読んで、ニ、三の高齢者より「補聴器のリサイクル」が出来ないものかと、要望があった。補聴器が高価で、年金暮らしの高齢者には購入が困難な人も多いと思われる。

 私共の“補聴器適合運動”の初期の頃、“補聴器相談センター”の時代(平成六年四月)に県内両紙に取り上げて戴き、不要の補聴器の提供を全県にお願いして戴いたが、あまり集まらず(半年間で約十個、琉球新報報道・同年十月三日)、その活用も一部に留まっている。

 高齢社会が進行、難聴高齢者が増加(七十歳以上で約半数、従って全国で約一千万人、当県でも約十万人と推定される)しているのに、補聴器の評判が悪く、必要な人の五~十人に一人、当県では十~二十人に一人(当県某市の実態調査から)と殆んど使われて居らず、膨大な数の難聴高齢者の殆んどは聴こえないままでいるため、コミュニケーション障害より家族・社会より遊離・孤立し、閉じこもり・寝たきり・認知症など、人間として生きていけなくなってしまっている現実がある。

 両耳の聴力が七十デシベル以上の高度難聴(正常聴力は零―ゼロデシベル―)、又は音は聴こえても言葉がわからない、即ち、言葉の理解力が両耳共に五十%以下の場合には、身体障害者に認定され、補聴器の支給を受けられるが、五十デシベル前後から補聴器を必要とするようになるので、福祉に該当せず、自費で購入しなければならない人の中には、経済的に困難な人も出てくる。

 特に生活扶助を受けている方の場合、補聴器の援助金がでるのは、当県では一市のみなので、それに該当しないと聴こえないままでいることにならざるを得ない。私共の診療所では、貸出し補聴器で一部対応してはいるが、それにも限界がある。

 そこで、私共もリサイクルの補聴器があればと思い続けてはいるが、現実はきびしい。

 購入したが使えなくて、三~四個タンスの中にしまってある補聴器は、販売店に使えるようになるまで通う(薬事法で「不満に対応する」ことが規定されている)ことにより解消するが、新調したとかなどで不要になった補聴器もあるはずなので、提供して戴けると、元気になり、生きがいを持てるようになり、幸せになる難聴高齢者が増えて来ると思われるので、是非、再度検討して戴きたいとお願いする次第である。

NPO法人「沖縄県難聴福祉を考える会附属診療所 補聴相談のひろば」
相談医 野田 寛 (琉大名誉教授)


  • カテゴリー: 論壇
  • 投稿日:2010年8月2日 月曜日

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