百才を越しても補聴器不要としよう! -高齢難聴は内耳動脈硬化なので可ー

2010年6月15日 火曜日

 高齢社会となり、高齢難聴者が増えている。

 70才を越すと約半数が補聴器を必要とする程になるので、高齢化率が20%以上になった我が国では、全国で約1千万人、本県でも約10万人いると推測される。

 これら高齢難聴者の中で、適合補聴器を獲得している人は全国で10~20%、当県では5~10%しか居らず、従って高齢難聴者の大部分は聴えないままでいることになる。

 年令が進み聴えないままでいると、コミュニケーション障害より家族・社会より遊離・孤立し、精神的動物の人間は生きて行く自信・意欲を失い、閉じ込もり、寝たきり、認知症などになる可能性が高くなる。

 近年、この高齢難聴の大部分は、耳を養っている血管の動脈硬化と判明、食事のコントロール、運動の励行により、難聴が予防・進行停止でき、聴えの内容の改善(内耳血流の改善により、音の歪みーひずーみ が改善し、言葉がわかり易くなる)が可能となって来ている。

 事実、私共の相談者の80~90%は、この5~6年難聴が進行していないし、音の歪み(代表的な音にて測定可、またその全体像としての語音明瞭度検査にて言葉の理解度測定可)の改善のみられる相談者が増えていlる。

 そこで、4年前より頭初は「高齢難聴の早期発見・早期対応」(いよいよ聴えが悪くなってからでは、補聴器を使おうとしないし、使いこなせないー生きる意欲・自信を失ってしまうため)、この1~2年は「百才を越しても補聴器不要としよう」と、老人クラブ、自治会などに出張、耳の健康講話を行い、全員の聴力検査を施行、聴えの状態を説明、今後への注意を指導して居り、3年間毎年行っているデイサービス5グループ百余名は、この3年間難聴は進んでいない。

 この活動は評価され出して来て、平成19年度と20年度は県社会福祉協議会の推薦で独立行政法人「福祉医療機構」より、本年度は県の推薦で「年賀寄附金配分事業」より補助金が得られる程になって来ている。

 また、理解者も除々に増えて来て、役所の担当課が声掛けをしてくれるところもある。

 しかし、この4年間で170ヶ所と声掛けした老人クラブなどの約10%しか実施されて居らず、その意味が充分理解されていない。

 まず難聴の予防・進行停止・内容改善を、また難聴になっても早期発見・早期対応でコミュニケーション良好で、人生終焉まで自立、人生をエンジョイするようになってほしい。

  ※この文は平成21年11月「沖縄タイムス・論壇」へ投稿した文です(不掲載)                          

 野田 寛:沖縄県難聴福祉を考える会 附属診療所
       「補聴相談のひろば」相談医
          (琉球大学 名誉教授) 


  • カテゴリー: 論壇
  • 投稿日:2010年6月15日 火曜日

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