元気を取り戻す難聴高齢者

2007年12月3日 月曜日

 年と共に聴えが衰える高齢難聴者が増えている。

 早いか遅いか個人差はあるが、70才を越すと約半数が、90才以上で殆どが補聴器を必要とするようになる。この数、高齢化率が20%を越えた我国では、その約半数が難聴なので、全国で1千万人、当県でも10万人を越えると膨大な数になって来ている。

 この老人性難聴は、耳を養っている血管の動脈硬化であることが判明、他器官の老化と変りないことがわかって来ている。従って、日々の食事のコントロールと運動などにより、難聴を予防・進行停止が可能となるばかりでなく、音を感ずる細胞を養っている血管の血液の流れの改善により、音を感じる細胞に充分酸素と栄養が供給され、その機能が回復し、音の歪(ひず)みを起す障害が改善され、音がストレートに入るようになり、年齢と共に起って来る聴えの障害のもう一つ、「何か云われているが、言葉がわからない!」と云う言葉の理解の障害が改善され、言葉が良くわかるようになり、確かに若い時には戻らないが、それに近い状態に回復してくるので、難聴高齢者が補聴器の有無にかかわらず、言葉の理解が増し、大変明るくなり、人生を楽しんでいる様子で、ニコニコして元気になるのを良く見掛けるようになって、最近の難聴・補聴器外来が楽しく、明るくなっている。

 実際、この音の歪みの状況は測定され、数字で表されてくるので、その総合としての言葉の理解度の検査(日本では五十音の聴き取り検査として行われる最良語音明瞭度検査)、その理解度のパーセントと共に、半年~一年毎に経過を追うと、その改善の度合いが数値として出てくる。(勿論、その歪みの度合いによりそれぞれの高さの音ー周波数ーの補聴器の調整具合も変ってくる。)

 これに加え、法律の改正(�薬事法の改正・厚生労働省・平成17年4月、�特定商取引に関する法律等の改正・経済産業省・平成16年11月)や制度制定(補聴器相談医制度・日本耳鼻咽喉科学会・平成18年4月)により、適合補聴器を得られ易い状況になって来ているので、前述の音の歪みの改善と共に、1人ひとり異なる聴えに適合された補聴器の使用による相乗効果により(適合補聴器を獲得し、何とかわかろうと一生懸命聴いている人は、補聴器を良く使いこなすようになり、言葉の聴き取りが上手になるので、言葉の理解力が改善してくる)、生活の内容が改善し、豊富となり、人生を楽しんでいる様子が表情にも出てくる人が多くなって来ている。

 高齢社会が進行、すでに膨大な数になっている難聴高齢者も前述のように対応、人生を継続・発展させ、コミュニケーション良好で、家族・社会と仲良く付き合い、亡くなる直前まで自立、人生をエンジョイし、人間としての一生を全うし、間違っても補聴器を使えず聴えないままいて、閉じ込もり、寝たきり、認知症など、人間として生きて行けないも人が1人でも少なくなってほしいものである。


  • カテゴリー: 論壇
  • 投稿日:2007年12月3日 月曜日

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