【論壇】難聴を予防・克服し、楽しい!良い人生を!

2013年10月24日 木曜日

 難聴の程度が国が定めた基準を超えると「聴覚障害による身体障害者」に認定されて、五年毎に補装具(補聴器)が支給される。
 両耳七十㏈(デシベル)以上で身体障害者六級、八十㏈以上で四級、九十㏈以上で三級、百㏈以上で二級、また両耳の言葉の理解力が五十%以下で身体障害者四級に認定される。
 沖縄県は、日本復帰後迄の医療の遅れもあり、その認定率は全国平均の約半分と低い。
 高齢社会が進行、高齢化率が二十%を越し、全国で高齢者が三千万人を越えたとの報道がされているが、その約半数は高齢難聴なので、全国で一千四~五百万人、当県でも十四~五万人の高齢難聴者が居り、その十五~二十%は身体障害者に該当することになる。
 しかし、補聴器不評で、必要な人の十~二十%、当県で五~十%しか使用されていない。
 年齢が進んで、聴えないままでいると、コミュニケーション障害より、家族・社会より遊離・孤立し、精神的動物である人間は生きがい、生きる意欲を失い、閉じ込もり、寝たきり、認知症など人間として生きて行けなくなり、要介護状態になる可能性が高くなる。非常に多くの人生が駄目になり、とても気の毒であると同時に、すでに高齢難聴者の三~四割は要介護状態になってしまっていると思われるので、その介護費・医療費の激増から増税にならざるを得ない状況にある。
 両親・祖父母など、家庭内に難聴で不自由し出している人々、または周囲が不自由している家族も多いと思われるが、最近は私共のホームページなどを見て、家族が連れて来られる人も増えて来ていることは喜ばしい。
 確かに、補聴器はただ着ければ良いと云うものではない。一人ひとり聴え方が異り、補聴器の音質もメーカーにより異なるので、どの補聴器が合うかは、御本人しかわからない。
近年、この高齢者難聴の大部分は、耳を養っている血管の動脈硬化と判明、従って予防が可能で(近年、私共は「百歳を越しても補聴器不要にしよう!」をキャッチフレーズに希望する自治会・老人クラブなどに無料で出張講話と全員聴力検査による個別の指導を行っている)、難聴になってもそこで停止させ、「音は聴えるが、言葉はわからない!」(高齢者難聴の特徴)と云う“音の歪(ひずみ)”(聴覚細胞の障害により、音の大きくなり方、濁り方が変る)も測定可能、改善も可能となって来ているので、これにより、高齢難聴者も自分の思い通りの、良い人生を歩んで欲しい!

特定非営利活動(NPO)法人沖縄県難聴福祉を考える会
附属診療所「補聴相談のひろば」
相談医・野田 寛(琉球大学名誉教授)


  • カテゴリー: 論壇
  • 投稿日:2013年10月24日 木曜日

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