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「難聴福祉を考える会」(旧 難聴者友の会)結成の目的

対象者は、加齢と共に生じてくる聴えの衰えにより不自由を感じ出した軽度の難聴者、それを支える家族、ボランティア、また聴えに不自由を感じ出したら、どう対応したら良いかを知っておいた方が良い難聴予備群の高齢者。
 高度難聴者対応の「ろうあ協会」や「難聴者協会」は存在し、全国組織にもなっているが軽度の難聴者を対象としていないため、「手話」や「要約筆記」が主流で、聴かなくても良い方向で対応がなされて居り、難聴者の福祉はそれで充足されていると言うことになっている。
 しかし、軽度難聴者の場合には、補聴器を正しく活用することにより、コミュニケーション障害が解消され、通常の社会で普段通りに生活出来るし、磁気ループ(マイクの音を直接補聴器に入れる装置−欧米先進国では、これが人の集まるところ、集会場、講演会場、劇場、音楽会場など、また役所、病院、銀行などの窓口に設置されているのが常識)など集団補聴の「社会整備」を行えば、社会参加が可能となり、高齢者が難聴となっても自立し、自分の思い通りの生活をエンジョイ出来、自分の思い通りの人生を歩める。これを、難聴者及びその予備群が力を合わせて達成するための会である。勿論、幼児や若年の難聴者や高度難聴者などの方々を排除するものではなく、難聴者並びにその予備群が、更にこれに関連する人達、当問題に関心のある方々が共に集い、共に社会に、関係筋に訴えて行く必要がある。

具体的には

1.難聴者の福祉の向上

難聴者の福祉が非常に遅れている。これは、難聴者が後述するように、差別されるので、難聴者であることを隠す。そして、難聴であることの不自由さを世間の人に話さない。従って、世間一般の人々には、難聴者の不自由さがわからない。どう対応したら良いのかわからない。従って、この会を発足させ、皆で声を合わせて、難聴による不自由さを訴え、以下のことを社会に理解してもらい、対応してもらうよう、働きかける必要がある。

難聴者の数は、他の障害者に比し非常に多い。従来人口の4%と云われて来たが、高齢化率が30%を越え、70才以上の高齢者が3,000万人を超えた我が国では、70才を越すと約半数が補聴器を必要とするほどに聴えが衰えてくるので全国で約1500万人以上、当地沖縄県でも約15万人以上と推定され、非常に多いし、更に増加してくる。現在は、難聴でないかもしれないが、そのうちの約半数の人達はいずれ難聴となる可能性がある。
 そして、その難聴を放置しておくと、コミュニケーション障害より、家族・社会より遊離・孤立し、精神的動物の人間は生きがい、生きる意欲を失い、閉じ込もり、寝たきり、認知症などに陥り易い。
 日本の認知症は600〜800万人(厚生省研究所の推計値、NHKの放送)と云われるが、そのうちの80〜90%は難聴の放置によると考えられる。(認知症施設の聴力検査で、8割以上が難聴と云うデーターもある)
 これら難聴の人達の不自由さを解消させるための働きかけが必要である。

(1) 補聴器適合制度の制定
加齢と共に起ってくる聴えの衰え、個人差があり、早く起こって来る人、そうでない人など色々であるが、70才を過ぎると約半数の人が補聴器を必要とする程になる。しかし、補聴器の評判はすこぶる悪く、必要な人の5〜10人に1人(当県では10〜20人に1人―県内某市の実態調査から―)しか使われていない。これは、一人ひとり異なる聴え方に補聴器を適合・調整する制度が先進国の中で唯一我が国に確立されていないため、無秩序に販売されている結果である。
(2) 磁気ループなど集団補聴装置の整備
上述「磁気ループ」など集団補聴装置を人の集まる場所へ、即ち公民館、集会所、市民会館、講演会場、劇場、音楽会場に、特に生活上必須と思われる役所・銀行・郵便局・病院などの待合い室・受付・相談室・診療室などに設置する社会整備により、難聴になっても補聴器装用にて生活上も不自由が解消され、社会参加が可能となる。
(3) 身体障害者認定基準の見直し
昭和20年代に制定された身体障害者認定基準、即ち人間の聴え始めを0dBとした時に両耳が70dB以上と云うことになっているが、実際は50dB前後から補聴器が必要となるので、実際に合わせて支給してもらうよう、基準を見直してもらう必要がある。
(4) 補聴器の両耳装用を行政的にも認定させる
18才までの身体障害児には、主に教育のために両耳装用が適用されているが、18才以上の身体障害者には認められていない。両耳装用の指導と共に、これを認めてもらうよう要望する。
(5)「磁気ループ」などの家族内活用に対する援助制度の制定
「磁気ループ」は、テレビや電話にセットすることが出来るので、これにより生活の質の向上を計れる。
(6) 各地域に公的機関による「補聴器相談所」の設立
各地域の事情によりどう取り組むか色々と思われるが、役所内に、また保健所や社会福祉協議会、地方自治体の診療所や病院があればそこでなど、地域住民の居住地域内に1ヶ所公的機関またはそれに準ずる機関による常設の「医学判定・医療相談を伴った補聴器適合相談所」を設立するよう要求すべきである。
補聴器の信用が回復されると、そして更に両耳装用や使い分けー音楽会の時はこの補聴器、パーティーなどの時はなど使い分けるー、また予備ー補聴器が身体の一部のようになれば故障のための予備を用意するようになろうーなど、恐らく現在の20倍〜数十倍取り扱われるようになり、上記では間に合わず販売店が主体となろうが、現在の補聴器販売業者が移行して行くことになろうから、また何時どうなるかわからないので、上記公的機関によるものはそのチェック機構として半永久的に必要である。

 以上を会員が力を合わせて社会にアピールし、達成してもらうよう努力する。

(7) 自分で調節できる補聴器の製作
現在の"補聴器適合"は、いわゆる専門家と云われる人が難聴者の聴え方を測定し、その聴え方に合うように調整、その難聴者の訴えに従い、更に微調整しているが、難聴者に云わせると、どうも訴え通りにはしてくれない、しっくり聴えるようにはならないようである。これは専門家と云われる"他人"が合わせているので当然と云えば当然のことで、従って本人が自分の聴えに合わせられる補聴器があればと思う昨今である。聴福会の役員も"そうゆう補聴器が出来ればそれが一番良い"と即座に答えるので、やはり現在の補聴器適合に満足していないのがよくわかる。音の歪の問題などその日の"内耳の血液の流れ方"ー血流ーにより、その日、その日で聴え方が異なることもあり得るので、やはり自分で合わせて、その時点で最良にするのが良いと思うからである。

2.難聴者の人権の回復

 難聴になると人とのコミュニケーション障害を生じ、相手にされなくなり、家庭内においても除外されてしまう。ーよく「“おじいちゃん”又は“おばあちゃん”は聴えないから、わからなくて良い」とか「話してもどうせわからないから話さなくても良い」又は「仕様がない」ーなど また、社会でも相手にされず、除外されてしまうことが多い。
 従って、難聴者は「自分の難聴を隠す」又は「聴えたふりをする」、聴えないのがわからないように「目立たないよう行動する」、最終的には「人と会わないようにする」「家の中に、自分の中に閉じ篭もってしまう」など。
 このようにならないため、難聴者が手を組んで、まずー「難聴を隠さない」ーひとりだと行えなくても皆と一緒なら出来る。
 合わない補聴器を買わされるのも、一人前として扱われていないためで、そのためには補聴器に関する基本的知識を身につける必要があり、会が形成されれば講演会、講習会や研修会などを定期的に行い、実力をつけて行ける。


3.難聴高齢者の自立と活性化

 良く適合した補聴器が得られるようになり、磁気ループなどの社会整備が充実してくると、難聴高齢者も子供達などの世話にならずに自立して生きて行ける、と言うより自分の人生信条にのっとり、自立して生きて行くべきである。
 また自立して行けるように、当会が聴えに対する充分な知識を得るための前述のような講演会などの他に、種々の社会活動や趣味の会の情報を与えたり、実際にサークルなども形成して活動したりすることが出来る。これらをまとめて、諸情報を与えたり、色々な人の種々な体験談、感想文、提言などをのせる会報(当法人には会報「長寿の絆」が3〜6ヶ月毎に発刊されている)などが出来れば、更に会員相互の連携が密となろう。高齢者は、人生の豊富な経験を有しているのであるから、社会に必要なこを行ったり、助言したりすることが出来、社会に貢献することが出来る。そして、それを通して多くの生きがいを見出すことが出来よう。

4.高齢難聴の予防、進行停止、内容改善

近年、高齢者難聴(老人性難聴)は、耳を養っている血管の動脈硬化によると判明、従って食事のコントロール(メタボリック症候群などにならないように)を行い、運動励行を行うことにより、内耳血流障害が改善されるため、内耳の聴えの細胞の機能障害が改善され、難聴の予防・進行停止が可能になったばかりでなく、音の歪み(音の大きくなり方、濁り方など)が改善され、言葉がよくわかるようになっているー音は聴えるが言葉がよくわからないが改善される。ー

以上、『難聴福祉を考える会形成のメリットは?』とよく聞かれるので、会員のメリットを上記のようにまとめてみたが、上記が達成されると、これは御本人達のメリットであると同時に、社会の、日本国の非常に大きなメリットとなる。