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「耳の日」によせて

2009年4月15日 水曜日

 三月三日は「耳の日」である。(これは、三月三日「耳の日」用にまとめた論壇原稿である)近代のコミュニケーション社会における“耳”の重要性を認識し、それを良好に保ち、老化させず、耳の健康増進を意識して戴く日である。

 設定当時に多かった中耳炎を中心に外耳、中耳の伝音器の疾患は衛生・栄養状態の改善などにより、殆ど消失し、幼児期によく起る耳管(鼻・ノドと中耳を繋ぐ管)の未発達により起る“滲出性中耳炎”なども5~6才で大人並になると殆どが正常化してしまう。

 内耳・聴神経の感音器の疾患で、まず生まれつきの聾、先天性風疹症候群聾などは、聴覚による言語大系を獲得する8才頃迄に、特に4才迄に、聴えていた人が聾になればあまり放置しないで、人工内耳埋込み手術にて、会話などに支障を来たさなくなるし、聴神経障害の場合には、内耳より中枢側の蝸牛核に電極を埋め込み聴覚獲得が可能となって来ている。

 高齢化社会に増えて来ている老人性難聴の大部分は、内耳を養っている血管の動脈硬化と判明、その予防、進行停止、“聴えの歪み”の改善が可能となっている。聴えの歪みとは、音を感じる聴えの細胞の障害で、高齢者では、動脈硬化・高脂血症(血液中のコレステロール、中性脂肪などの増加)などで、音の大きくなり方、濁り方が変り、音がまっすぐ入って来なくなるので、音は聴えても言葉が分かりにくくなるが、内耳血流が改善されると聴えの歪みがなくなり言葉が分かり易くなる。

 聴えに不自由し出したら補聴器で補うことになる。我が国では“補聴器不評”で必要な人の10人に1人ぐらいしか使われていないが、“薬事法の改正”“特定商取引に関する法律の改正”更に“補聴器相談医制度”などにより、その人の聴えに合う補聴器を獲得できるようになり、合わなくて使えていない補聴器もその人の聴え方に調整し、8~9割は使用可能になるように出来るので、これによりコミュニケーション良好で、家族・社会と仲良く付き合い、人生終焉直前迄自立、人生をエンジョイしてもらいたいものである。

 耳鳴りは測定できるものが多くなり、それにより障害部位が想定出来ることが多く、対応し易くなって来ている。

 メマイ・フラツキも障害部位診断が進歩し、その対応が充分できるようになっている。

 高齢者難聴の前触れの耳鳴りは中性脂肪の、メマイ・フラツキはコレステロールの増加と関係すると云うデーターもある。

 専門医に相談すると良い。

     野田 寛 : NPO法人「沖縄県難聴福祉を考える会附属診療所                                                補聴相談のひろば」相談医 琉球大学名誉教授


  • カテゴリー: 論壇
  • 投稿日:2009年4月15日 水曜日

高齢社会に増加する難聴高齢者対応の重要性 ー放置による寝たきり・認知症の対応は!?

2009年4月1日 水曜日

 借金大国になりつつある日本。何か抜本的な改善策はないのか?高齢社会が進行し、その対応は現状で良いのか?

 年令が進むにつれ、聴えが衰えて来る人が多くなる。70才を越すと約半数の人が補聴器を必要とする程になるので、高齢化率が20%を越した我国では約1千万人、当県でも約10万人と推計される。膨大な数である!

 その80~90%、当県では90~95%が適合補聴器が得られて居らず、聴えないままでいる(当県某市の実態調査で実証)。

 年令が進み、聴えないままでいると、コミュニケーション障害より 社会・家族より遊離・孤立し、精神的な動物である人間は生きていく自信・意欲を失い、閉じ込もり、寝たきり、認知症などに繋がって行く可能性が高くなる。

 年令が進んで難聴になっても、適切な時期に適切に対応すると、人生はそのまま継続、人によっては発展もさせられ、コミュニケーション良好で、家族・社会と仲良く付き合って行け、人生をエンジョイ、人生終焉の直前まで自立して生きて行け、“人間としての人生を全うする”ことが可能であるが、難聴を放置し、聴えないままでいると、例え適合補聴器が得られても前述の如く、“生きる自信・意欲を失っている”ため補聴器をうまく使いこなせないし、使う意欲を失ってしまっているので、やはり、寝たきり・認知症になり易い(高齢難聴者の早期発見・早期対応の重要性)。

 近年、年と共に起って来る難聴(老人性難聴)は、耳を養っている血管の動脈硬化と判明、「難聴の予防」・「進行停止」・「聴えの歪(ひず)み(音を感じる細胞の障害により、音の大きくなり方、濁り方が変り、音が聴えても言葉がわからない状況。これが内耳の血液の流れが改善し、音を感じる細胞の障害が改善すると言葉がわかり易くなる)の改善」が可能となって来ている。

 従って、「百才を越しても補聴器不要としよう!」と自治会・老人クラブなどに出張、健康講話と共に全員の聴力検査の上、個々に指導を行い、すでに県内170ヶ所に及んだが、金武町5デーサービス百余名はこの3年間、聴力悪化はない。いずれ住民検診に組み込み、高齢者難聴の予防をしようとしている。

 まず「高齢者難聴の予防」、そして高齢者難聴には「早期発見・早期対応」し、国民の20%を越す殆どの高齢者が要介護状況にしないように、無駄な介護費・医療費不要とするように出来ると考えている。


  • カテゴリー: 論壇
  • 投稿日:2009年4月1日 水曜日
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