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【論壇】補聴器の装用

2015年12月1日 火曜日

 
 補聴器の「装用指導」とは、適合補聴器(自分に合った音質で、一人ひとり異なる聴こえ方に対応するよう調整、更に一人ひとり異なる生活の環境音に支障をきたさないように調整された補聴器)を、どう使ったら良いかを指導することで、当問題の取り組みが最も進んでいるドイツでは、耳鼻咽喉科医の指導の下で(補聴器は医師の指示により販売店で選別を行うが、決定したら、もう一度医師のチェックが必要で、医師の承諾のサインがないと、売買が出来ないことになっている)、「補聴器適合師」(中世時代から特殊技能を要する職人に与えられる称号“マイスター”制度により、学校教育後、補聴器専門店数社で修業を積んで認証され、これがないと販売店を持てない)が、補聴器購入者が補聴器を充分使いこなせるようになる迄指導することで、販売店内に数ヶ所の訓練室が設置され、補聴器を使用しても充分言葉が理解できない時には、「読唇術」まで教えていた(現在、このような重度の難聴者には、「人工内耳埋め込み手術」を行うことが多くなって来ている)。

 私共、難聴者の会「特定非営利活動(NPO)法人・沖縄県難聴福祉を考える会」の附属診療所「補聴相談のひろば」では、まず補聴器の選別を行い、適合補聴器が決定すると、この装用指導を行うが、高齢者が殆どなので、小さな補聴器(“目立ちたくない”と、小さな補聴器を選ぶ人が多い)を、指先の状況など一人ひとり、その取り組み方はさまざまで、かなりの時間を要するが、最近は私共難聴者の会の役員・会員が、体験者としていろいろの質問に答えたり、補聴器を使いこなすためのコツを教えたり、また磁気ループ(マイクの声を直接補聴器の中に入れられる。
 
 一般には、“集団補聴”と云って、講演会場などに設置して行うが、テレビや電話に設置して生活の質を上げることが出来る)など、補聴器関連の種々の器械の説明、使い方、設置方法など、必要な時には難聴者宅に赴いて指導・設置協力を行うようになり、大好評で、難聴者が慣れない補聴器に一生懸命取り組むようになってきて、非常に良い効果を持たらして来ている。

 私共、難聴者の会が発足して二十年を越し、試行錯誤を繰り返し、難聴者の要望に対応できつつあり、これを充分活用し、高齢者難聴の放置による「閉じこもり」、「寝たきり」、「認知症」などに陥らないようにしてほしいものである。

特定非営利活動(NPO)法人沖縄県難聴福祉を考える会
附属診療所「補聴相談のひろば」
相談医・野田 寛(琉球大学名誉教授)


  • カテゴリー: 論壇
  • 投稿日:2015年12月1日 火曜日
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