難聴高齢者への対応の重要性

2008年1月4日 金曜日

 年をとると聴えが衰えてくる。このことは誰でも知っていることであるが、その実態となると誰も良く理解していないし、どう対応できるのか知らない。また、自分のことではないから、自分の両親や祖父母であってもそう云うものだし、どうすることもできないことと諦めてしまっている。このようになって聴えないままでいると、コミュニケーションが出来ないので、家族・社会より孤立・遊離して行き、閉じ込もりとなり、寝たきり、認知症などに繋がって行くが、家族も周囲の人も皆そうなるのだから、年をとると云うことはこうゆうことと諦めてしまっている。

 自分自身がそうなった時にも、もう自分も年をとったことだし、自分の両親などもそうだったからと、それで良しとする人もあり、どうすることも出来ないと諦めてしまうのが普通のようだ。

 しかし、何とか聴えるようになって、現在の生活・人生を継続して行きたいし、更に何かまだやりたいと思う人も多く、そこで補聴器を買い求める、又は家族などが買い与えるが、日本には一人ひとり異なる聴え方に補聴器を適合・調整する制度がなかったため、商売が優先となり、適合補聴器が得られるようになっていなかったため、例外的な一部の人達を除き聴えないままで居り、前述の寝たきり・認知症に繋がって行く。

 社会も、一般の人々もこのことは知ってはいるが、自分の周囲の極く限られた範囲でしか知らないので、極く当たり前のことで、高齢化社会が進行、これが思いの外に膨大になっていることに気付いていない。難聴になっても五体満足で目に見えないからでもあろう。そして、聴えが悪くなるとコミュニケーションが不自由になるので、人と話さなくなり、人の前に出なくなるからであろう。

 高齢化社会が進行、高齢者が人口の20%を越えた現在、70才を越すと約半数が補聴器を必要とする程に聴えが衰えてくるので、日本全体で1千万人を越えるし、当県でも10万人を越えよう。そして、補聴器の使用状況からその80~90%、当県では90~95%が聴えないままでいることが推測される。

 このように、膨大な数の人々が、寝たきり・認知症に向かっていること、特に過日報道があったように、「当県の寝たきり・認知症が他府県より多い」ことと関連して居り、これが老人医療費、特に介護費の高騰と密接に繋がっていることに気付いている人は殆どいない。

 現在、私共「沖縄県難聴福祉を考える会」の働き掛けも有り、薬事法改正(補聴器の販売規制、業者の補聴器適合の義務など)や特定商取引に関する法律等の改正(クーリングオフ)また、補聴器相談医制度発足で、適合補聴器が得られ易くなり、早期対応にてコミュニケーション良好で家族・社会と良好に関係、人生を継続・発展させ、人生をエンジョイ、人間としての人生を全う出来ることを知り、実現に社会全体が努力すべきである。


  • カテゴリー: 論壇
  • 投稿日:2008年1月4日 金曜日

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