誰にでも起る高齢者難聴対策ー聴え方は一人ひとり異なり、本人しかわからない!

2008年1月21日 月曜日

 高齢社会となり、難聴高齢者が増えている。70才を越すと約半数が難聴となるので、高齢化率が20%を越えた我国では、その約半分が難聴なので、全国で1千万人を、当県で10万人を越える膨大な数になっている。

 この高齢者難聴(老人性難聴)は、近年耳を養っている血管の動脈硬化と判明、脳細胞の減少が起り始めると云われる20才台前半より起り始め、40才位から時に、60才台より少しずつ自覚し始める人が多くなる。

 近年の飽食時代、若年時にその基盤が形成される人が多くなるのではと気になるが、近年の高齢者はこれを自覚し、食事のコントロールや運動の励行を実行している人が多くなって来ていることは喜ばしいことである。

 事実、私共の診療所などの患者さんの殆どが食事のコントロール、運動の励行を指導しているので 難聴が進行しなくなり、内耳の血流の流れの改善により「音の歪(ひず)み」(音を感じる細胞が血液が充分来なくなるため障害を起し、音の大きくなり方や 濁り方が変り、音がストレートに入って来なくなるので、音は聴えても言葉がわからなくなる。この歪み度は数値で測定できるし、言葉の理解度の検査でもわかる)が改善され、補聴器を使っていても、言葉が良くわかるのようになり、人生が楽しくなるようで、ニコニコ顔になる人が多い。

 難聴を自覚し始めたら、また周囲の人々が聴き直しなどが多くなり難儀し出したら、補聴器で対応できるが、一人ひとり聴え方が異なるし、特に約1万個ずつある両耳の細胞の聴え方が前述の如く個々に歪み度が異なるので、どう聴えたら良いかは本人しかわからない。私共補聴器を適合・調整するものは、まず聴覚理論に従い適合、基本の周波数(音の高さ)の歪み度はわかっていてそれを加味しても、1万にも及ぶ各細胞の個々の音の歪みの総合は、その人の音の感覚で、その感じ方はその人しかわからないので、どの音がうるさいとか、個々に詳しく訴えてもらわないことにはわからないので、1~2回で良く聴えるようにならないからと諦めるべきではない。メーカーによっても音質が異なるように感じる人もあるので、自分が抵抗なく聴えるようになるまで少なくとも数回、必要な時は 10回以上にも及ぶこともあり、その後も聴え方の変化などを含め、聴え方がおかしければ当然、聴え方が良好と思っていても半年~一年毎に聴えと補聴器のチェックを行い、常に最良の状況を保つようにすべきである。ドイツで1年に1度の補聴器のチェックが法律になっているのもそのためである。

 当県では、年をとれば聴えなくなるのは当たり前、補聴器はうまく使えないからと諦め 、聴えないまま閉じ込もり、寝たきり、認知症などに繋がっている人が多いのは残念なことで、難聴となったらすぐ レーガン、クリントン(二人とも大統領時代に補聴器を装着していた)のように対応し、前述のごとく自分で自分に合う補聴器を獲得、人生を継続・発展させ、コミュニケーション良好で家族・社会と仲良く付き合い、人生をエンジョイし、亡くなる直前まで自立、人間としての人生を全うしてほしいものである。


  • カテゴリー: 論壇
  • 投稿日:2008年1月21日 月曜日

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