【論壇】補聴器リサイクルに関心を!

2019年12月5日 木曜日

 高齢化社会が進行し、年齢と共に難聴になる人が増え、補聴器を必要とする人が多くなって来ている。

 しかし、年金生活などの高齢者の中には、補聴器の値段が高値で購入出来ないと、聴えないままでいて、コミュニケーション障害から「閉じ込もり」、「寝たきり」、「認知症」などになってしまう人も少なくない。

 難聴の度合いが、国が定めたレベル以上になると(即ち聴力検査で、両耳が共に七十㏈―デシベル―以上、または一側が九十㏈以上で他側が五十㏈以上、更に最良語音明瞭度(言葉の理解力―日本では五十音を使用して行う―)が両耳共に五十%以下になると、「聴覚障害による身体障害者」に認定され、五年毎に補聴器を一側のみだが支給してもらえる。

 そこで、私共、難聴者の会、特定非営利活動(NPO)法人「沖縄県難聴福祉を考える会」で平成十二年の発足当時より、使用しなくなった補聴器の提供をお願いして来ているが、補聴器が高値で購入されているためか、提供して下さった方はこの二十五年間で、数名しかいないのは、非常に残念である。

 むしろ、本土から旅行など来沖し、たまたま私共の活動を知って、私共の難聴者の会の市町村の無料相談や附属診療所「補聴相談のひろば」に偶然に来られた方が、帰宅後に不要の補聴器を送って下さる方が多く、非常に助かっている。と云っても、そう多いわけではない。(先般、神戸市のリサイクル活動家が、補聴器のリサイクルについて問い合わせがあったが、やはり不要補聴器は多いはずなのに、集まらないようである。)

 二~三年前迄は、福祉財政が良好な、いくつかの市町村で、補聴器の購入に補助金を支給してくれたが、当県では現在、このような市町村はなくなっている(過去に、東京都などは六十歳以上で医師が補聴器が必要と診断すれば、補聴器を支給する区が多くあったし、特に武蔵野市は両耳で十四万円迄支給していたが、当時の当県知事に話したところ、「沖縄県は貧乏県だから」で終わってしまった。)

 難聴になって、聴えないままでいると、前述のように、「閉じ込もり」、「寝たきり」、「認知症」など、要介護状態になるので、もう個々の家族で面倒を見れるところが少なくなっている現在、地域社会、国が面倒をみなければならなくなり、増税にならざるを得なくなり、国債も増えて次世代に迄影響が及ぶことになるので、熟考を要する。

特定非営利活動(NPO)法人沖縄県難聴福祉を考える会
附属診療所「補聴相談のひろば」
相談医・野田 寛(琉球大学名誉教授)


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