高齢社会における補聴器普及と集団補聴装置など社会整備の重要性

2007年7月2日 月曜日

 高齢社会が進行し、高齢難聴者が増加している。七十才以上で約半数が補聴器を必要とする程になるので、高齢化率が二十%を越えた我が国では、一千万人以上、当県でも十万人以上が難聴と推測される。

 これらの難聴者は、補聴器適合制度がなかったため適合補聴器が得られず、必要な人の五~十人に一人、当県では十~二十人に一人と殆ど補聴器を使用していなかったが、平成十七年四月の「薬事法の改正」(厚生労働省ー販売規制、即ち業者の認可制、販売補聴器適合の責任など)、また平成十六年十一月の「特定商取引に関する法律等の改正」(経済産業省ー特に高齢者への訪問販売・通信販売・電話勧誘販売などの規制など)、そして平成十八年七月より「補聴器相談医制度」(日本耳鼻咽喉科学会認定)など整備され、購入者が適切に対応すれば、「適合補聴器」を得られる時代になってきていることは喜ばしいことである。

 前述の如く、高齢難聴者は非常に多く、国民の十人に一人と云う状況なので、全ての難聴者が一人ひとり異なる聴えに対応する「適合補聴器」を、補聴器先進国ドイツ(補聴器の年一度のチェックが法律で定められている)のように、獲得出来る日の近いことを祈る。

 このように、「適合補聴器」が得られるようになったとは云え、若い時に戻るわけではなく、装用指導(補聴器をうまく使いこなすための訓練ー当初は片方の耳で十~十五分して一休み、徐々に長くして、常時装着し身体の一部となるほどになるには、人にもよるが、半年~一年かかる。それが出来てから、、もう一つの耳の訓練に入るなど)にて、通常の会話などに不自由しなくなっても、五メートル以上離れると聴き取りが難しく、従って講演会などでは良く聴えない。これをテレビに接続することも可能で、当県では設置家庭が百軒を越えよう。

 このような場合、「集団補聴」として、「磁気ループ」などがある。マイクの音を直接補聴器の中に入れる方法で、会場を磁気の線で囲み、補聴器を通常の「M」を「T」に切り換えると、マイクの声のみが入り、雑音もなく、ハッキリ聴くことができる。欧米先進国では、これが人の集まる所(集会場、講演会場、劇場、音楽会場など)に、また役所や病院などの窓口に設置されているので、社会参加が可能であると共に、誰の世話にもならず、一人で物事が処理できるようになっている。

 磁気ループの磁気は、五ミリアンペアと極く微量なので、心臓のペースメーカーなどに影響せず、全く安全なものである。

 集団補聴には、赤外線方式やFM方式もある。しかし、それぞれ独自の補聴装置が必要であるが、磁気ループの場合補聴器の半分にその切り換えがあるので、これが安価で早道と勧めている。

 このように、補聴器の普及と集団補聴装置の社会整備は、高齢社会の活性化に非常に重要である。


  • カテゴリー: 論壇
  • 投稿日:2007年7月2日 月曜日

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