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【論壇】音は聴えるが、言葉がわからない!

2015年3月26日 木曜日

 「音の歪(ひずみ)」をご存知であろうか?人の話し声を聴いた時、その話し声の音の大きくなり方や濁り方が変わって感じられ、音は聴こえても言葉がわからなくなる現象で、高齢者難聴の一つの特徴となっている。

 そして、これが内耳動脈などの動脈硬化などによる血液の流れ(血流)の障害により、聴覚細胞の機能障害が起こり、血流が改善すると、この音の歪も改善し得ることも、四~五年前より確認されている。

 この音の歪の度合いは、代表的な音について測定が出来るし、その全体像として五十音を使用した言葉の検査(最良語音明瞭度検査)で判定される。

 この言葉の検査で、正常者は当然一00%だが、両耳共に五0%以下になると、聴覚障害による身体障害者四級に認定され、五年毎に補装具(補聴器)を支給してもらえる。

 補聴器は、音を大きくするが、この音の歪は改善出来ない。数千の個々の聴覚細胞のそれぞれ異なる歪み方の調整は不可能なので改善できないが、しかし補聴器の調整により、改善が全く不可能ではなく、また私共の難聴者の団体「沖縄県難聴福祉を考える会」のメンバーの創意工夫により、その周辺機器をうまく組み合わせることにより、一人ひとりの異なるが、言葉がかなり良くわかるようにできることがあることもわかってきている。

 以上のごとく、高齢化社会に入り、動脈硬化による内耳血流障害による難聴が多くなってきているので真正面よりハッキリ、ユックリ話してあげる必要がある。

 一方、聴きやすい話し手と、聴きにくい話し手とがあるのも事実で、小生などが患者さんと電話で話していると、「何をいわれているのか、良くわからないから、誰かに代わってください!」と云われることが多い。

 これは、話し手の発声法に問題があるからで、殆どの人は自分の周囲の人、特に親の話し方をまねて育ってくるので、発声学的に云えば、殆んどの人が間違った発声になっていることになる。オペラ歌手のように生理的に正しい発声法で話せば、高齢難聴者にも良くわかるようで、小生の発声と比較され、自分自身が如何に間違った発声をしているか、強く認識させられたことがある。

 人と人とのコミュニケーション、特に近年は自己主張をすべき時代にもなっているので、幼児期に基本的な、生理学的な発声のトレーニングを行う必要性を強く感じている。

特定非営利活動(NPO)法人沖縄県難聴福祉を考える会
附属診療所「補聴相談のひろば」
相談医・野田 寛(琉球大学名誉教授)


  • カテゴリー: 論壇
  • 投稿日:2015年3月26日 木曜日

【論壇】高齢難聴者の放置が認知症を招く

2015年2月10日 火曜日

 年と共に聴えが衰えてくる。七十歳以上で約半数が、九十歳以上で殆んどの人が補聴器を必要とするほどになる。

 高齢化率が二十%を越し、七十歳以上が三千万人を越した我国では、約千五百万人が、当県でも約十五万人が難聴と推計され、その八十~九十%が、当県では九十~九十五%が補聴器不評のため使用していないので、コミュニケーション障害により、家族・社会より遊離・孤立し、精神的動物の人間は生きがいや生きる意欲を失い、閉じ込もり、寝たきり、認知症など、人間として生きて行けなくなると推察される。

 一人ひとり聴え方が異なるし、またメーカーにより音質が異なるので、これらを調整・選別して「適合補聴器」が得られれば、人生はそのまま継続、人によっては発展させられ、コミュニケーション良好で、家族・社会と良好に付き合い、正確な情報を得られるので、亡る直前まで自立、人生をエンジョイ、人間としての人生を全うすることが出来、これを理解する人が徐々に増えていることは喜ばしいが、片や前述の如く、人生を駄目にしてしまう人が未だ大多数で、このための介護費・医療費で増税など、国民生活を圧迫する状況になっているのは残念である。

 先般の厚生労働省の研究班の推計では、老人性認知症が四~五百万人の由、私共の推計でも殆んど同じと推計されているが、その大部分(八十~九十%)は「難聴の放置」によるもので、本来の認知症(アルツハイマーなど)はせいぜい十~二十%と推察され、認知症収容施設での聴力検査でも八十%以上が難聴であったと云う。

 高齢難聴者の大部分は、耳を養っている血管の動脈硬化による血流障害で、従って、予防が可能、進行停止も可能(同じ補聴器を使用するにも、聴こえが良い方がうまく使える)、更に音の歪み(聴覚細胞の障害により音の大きくなり方、濁り方が変り、音は聴えても言葉がわからない―高齢難聴者の特徴―、この歪み度の程度は測定可能で(正常者の何倍になっているか)、言葉の理解力の検査と併せて判定し、まずその対処を検討(補聴器は基本的には音を大きくするが、言葉をわかるようには出来ないが、その対処は可能)、併せて内耳血流障害の改善を指導する。

 まず難聴にならないように、なったら適合補聴器を獲得、亡る直前まで自立、人間としての人生を全うしてもらいたいものである。

特定非営利活動(NPO)法人沖縄県難聴福祉を考える会
附属診療所「補聴相談のひろば」
相談医・野田 寛(琉球大学名誉教授)


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  • 投稿日:2015年2月10日 火曜日

【論壇】高齢難聴者放置がもたらすもの

2014年12月5日 金曜日

 私共の難聴者の会「特定非営利活動(NPO)法人沖縄県難聴福祉を考える会」が提唱して来た“補聴器適合運動”の中で、高齢者難聴の放置が閉じ込もり、寝たきり、認知症などに繋がり、現状から四~六百万人と推計して来たが、この推計数と先日報道された厚生労働省研究班の認知症の推計数とがほぼ一致しているのは当然とも言える。
 

 高齢化率が二十%を越し、三千万人以上の高齢者の約半数が難聴で(七十才以上で約半数が、九十才以上で殆んどが補聴器を必要な程に聴えが衰える)、全国で一千四~五百人、当県で十四~五万人の高齢難聴者の中で補聴器使用者は十~二十%、当県で五~十%、即ち大部分の高齢難聴者は聴えないままで、家族・社会より遊離・孤立し、精神的動物の人間は生きる意欲、生きがいを失い、閉じ込もり、寝たきり、認知症などに繋がって行く。
昨年、九州の某認知症施設より、収容認知症の“八十%以上が難聴”で、認知症との関係があるのではと問い合せがあったが、“難聴の放置が原因”と考えられた。
 

 補聴器の使用が少ないのは、我国に適合補聴器供給制度が確立されていないためで、一人ひとり聴え方が異なり、メーカーにより音質が異なるので、購入前にこれを確かめる必要があり、また補聴器の使い方を特に高齢者はよくトレーニング(装用指導)しておかないと使えない。(ドイツの補聴器屋さんには訓練室が数室あり、使えるようになる迄、聴覚が不十分な人には読唇の指導まで行う。)
 

 近年、この高齢者難聴の大部分は、耳を養っている血管の動脈硬化によることがハッキリして来た。従って予防が可能(私共難聴者の会のキャッチフレーズは「百歳を越しても補聴器不要にしょう!」)、ある程度悪くなってもそこで止められる(補聴器使用では、聴えが良い方が補聴器をうまく使える)、更に最近“音は聴えても、言葉がわからない(高齢者難聴の特徴の一つ)”も、内耳の血流障害が改善されると、音を受け取る細胞の機能が改善、音の歪み(音の大きくなり方が変り、正常者が「一」大きくなったと感じるのが数倍に感じられる現象)(補充現象)が改善され、言葉がわかり易くなることもわかって来た。
 

 まず難聴にならないように、なってしまったら適切な時期に適切な補聴器を獲得し、亡くなる直前まで自立、人生をエンジョイ、人間としての人生を全うしてもらいたいものである。

 

特定非営利活動(NPO)法人沖縄県難聴福祉を考える会
附属診療所「補聴相談のひろば」
相談医・野田 寛(琉球大学名誉教授)


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  • 投稿日:2014年12月5日 金曜日

【論壇】高齢難聴者の放置は閉じ込もり、寝たきり、認知症に導く!

2014年8月8日 金曜日

 
 厚生労働省研究班によると、認知症は高齢者の十五%、四~五百万人と推計されると報道された。この推計値は私共難聴者の集りである「特定非営利活動(NPO)法人沖縄県難聴福祉を考える会」が中心に二十年前より行って来た「補聴器適合運動」で唱えて来た「高齢者難聴の放置が閉じ込もり、寝たきり、認知症などに繋がる」と推計して来た数値とほぼ一致する。即ち、高齢化率が二十%を越した我国では三千万人を越す高齢者が存在、その半数が難聴(七十才以上で約半数が補聴器を必要な程になる)なので、全国で一千万人~千四、五百万人、当県で十万人~十四、五万人が難聴で、しかし補聴器使用者は全国で十~二十%、当県で五~十%と殆んど使われて居らず、殆んどが聴こえないままでいるので、コミュニケーション障害より、家族・社会から遊離・孤立し、精神的動物である人間は生きがい、生きる意欲を失い、閉じ込もり、寝たきり、認知症になる可能性が高くなり、恐らく前記推計の高齢難聴者の3~4割は、即ち四~五百万人が、閉じ込もり、寝たきり、認知症など、すでに人間として生きていない状態にあると推計して来た。
 昨年、九州の某認知症施設で、収容認知症の八十%が難聴であったと、認知症と難聴と関係があるのではと問い合わせて来たことがあったが、恐らく“高齢難聴者の放置”が、前述の如く閉じ込もり、寝たきり、認知症に繋がる、即ち認知症の大部分は難聴の放置と関係があるのではないかと考えている。
 日本で補聴器が殆んど使用されていないのは、一人一人異なる聴え方に補聴器を適合させる制度が確立されていないし、補聴器の使い方の指導(装用指導)がされていないからである。メーカーによって音質も異なるので、どの補聴器が良いか一人一人異なる。また特に高齢者は小さい機器の補聴器の使い方をトレーニングしないと、一度だけでは使いこなせない。ドイツの補聴器販売店には数室“訓練室”があり、使いこなせる迄指導する。
これを実現するため活動をして来たが、殆んど進展しないのは何故か?残念である。
 近年、この高齢者難聴の大部分は耳を養っている血管の動脈硬化と判明、従って予防が可能、“百歳を越しても補聴器不要”が可能、難聴停止も重要(補聴器を使うのに聴えが良い方がうまく使える)、そして近年、内耳血流が改善すると、“音の歪み”が改善、言葉がわかり易くなることも可能となって来ている。

特定非営利活動(NPO)法人沖縄県難聴福祉を考える会
附属診療所「補聴相談のひろば」
相談医・野田 寛(琉球大学名誉教授)

琉球新報にて平成25年6月12日掲載


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  • 投稿日:2014年8月8日 金曜日

【論壇】補聴器適合運動二十年-コミュニケーション障害による高齢難聴者の寝たきり、認知症を予防できているのか!?

2014年7月11日 金曜日

 平成五年三月三日「耳の日」よりマスメディアの協力を得て始めた「補聴器適合運動」、この三月で二十年となる。しかし県民に関心がないまま、高齢化が進み、高齢化率が二十%を越し高齢者が三千万人以上となり、その半数が難聴なので全国で一千四~五百万人、当県でも十四~五万人と増加、補聴器不信で、必要な人の十~二十人に一人、全国で五~十人に一人と使用されず、殆んどの高齢難聴者は聴えないまま、コミュニケーション障害より家族・社会より遊離・孤立、精神的動物の人間は生きがい・生きる意欲を失い、「閉じ込もり」「寝たきり」「認知症」など要介護状態となる。個々の家庭の片隅で放置されたり、施設に収容されたりで見捨てられているのは非常に気の毒である。と同時に、介護費・医療費の増加が増税・国債増加と、国民生活を圧迫し始めているのは、非常に残念である。
 この運動を行っている間に、高齢難聴者の大部分は、耳を養っている血管の動脈硬化による血液の流れの障害と判明、従って予防が可能(私共最近のスローガンは、「百歳を越しても補聴器不要としよう!」)、難聴となっても進行停止が可能(私共の患者さんの八~九十%は、この七~八年難聴が進んでいない。同じ補聴器を使用するのでも、基本的な聴えが良い方が補聴器をうまく使えるし、買い替えが殆んど不要となる―補聴器は大事に使えば十~二十年以上使える)、そして「音の歪(ひずみ)」も改善され得ることもわかって来た。
 この「音の歪」とは、耳の聴えの細胞の障害により、即ち動脈硬化や高脂血症などにより聴えの細胞に充分血液が流れなくなり、酸素・栄養が充分行かないと起り、音の大きくなり方、濁り方が変わり、即ち正常の人が“一”大きくなったと感じるのが二~三倍、場合によっては五~十倍に感じられるようになる現象で、この度合いは測定され得るし、音が真直に入って来なくなるので、「音は聴えるが、言葉がわからなくなる」現象で、これも言葉の理解力の検査で測定が可能で、高齢難聴者の特徴の一つになっている。
 このように、まず難聴にならないように、聴えが悪くなるようであれば“早期発見・早期対応”が重要で、これにて人生がそのまま継続、人によっては発展もさせられ、殆んどの高齢者が亡る直前まで自立、人生をエンジョイ、人間としての人生を全うすることが可能で、介護費が殆んど不要となり、増税が不要となるよう運動を続けている。

特定非営利活動(NPO)法人沖縄県難聴福祉を考える会
附属診療所「補聴相談のひろば」
相談医・野田 寛(琉球大学名誉教授)


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  • 投稿日:2014年7月11日 金曜日

【論壇】集団補聴・磁気ループの社会整備にて、高齢難聴者の社会参加を!

2013年12月9日 月曜日

 「磁気ループ」とは、マイクの声を直接補聴器の中に入れる方法で、欧米先進国では、集会場、講演会場、劇場、音楽会場などに、また、役所、病院、銀行などの窓口に設置されているのが常識で、難聴になり、補聴器を使用するようになっても、人生を楽しみ、付き添いなしで、用事を済ませられるように、即ち自立して生活できるようになっている。
 高齢化率が二十%を越し、報道されたように高齢者が三千万人を越した我国では、その約半数が難聴なので、全国で千四~五百万人、当県では十四~五万人と膨大な数で、補聴器不評のため、その八十~九十%、当県では九十~九十五%が補聴器不使用で、聴えないままで居り、コミュニケーション障害より、家族・社会より遊離・孤立し、精神的動物である人間は生きがい、生きる意欲を失い、閉じ込もり、寝たきり、認知症など、要介護状態になる可能性が高くなる(前述の高齢難聴者の三~四割は寝たきり、認知症などに落ち込り、時々刻々増えて行くので、御本人が気の毒であるだけでなく、介護費・医療費が増加し、増税にならざるを得ない状況にある)。
 二年前に開催された「国際磁気ループ会議」(先進十五国の中に、日本は入っていない―補聴器が普及していないため)で決定されたこと、①補聴装置(人工内耳を含め)に磁気ループ対応のTコイルつける―日本の補聴器には約半分に装着)、②磁気ループの利便性を周知させる、③公共施設への設置の義務化(米国数州は法律で制定)、④駅、空港、交通機関に設置を推進、などが決議されている。
 近年、磁気ループなどを応用し易い装置が比較的安価で販売され出したので、特にテレビ、電話を中心に応用で来るよう貸し出し、確認して、購入してもらうようにしている。
 補聴器も、ただつければ良いと云うものではない。一人ひとり聴え方も異なるし、メーカーにより音質も異なるので、どれが良いかは、本人にしかわからない。貸し出しにて、確認しながら決定する必要がある。
 近年、高齢難聴の大部分は耳を養っている血管の動脈硬化による血液の流れの障害と判明、予防が可能であると共に、高齢者特有の「音は聴えるが言葉がわからない」と云う音の歪(ひず)みも“内耳血流障害”によるもので、その測定が可能で、改善も可能なので、年齢が進んで難聴になっても、適合補聴器を獲得、磁気ループなど周辺機器を活用、楽しく、人生を全うしてもらいたいものである。

特定非営利活動(NPO)法人沖縄県難聴福祉を考える会
附属診療所「補聴相談のひろば」
相談医・野田 寛(琉球大学名誉教授)


  • カテゴリー: 論壇
  • 投稿日:2013年12月9日 月曜日

【論壇】難聴を予防・克服し、楽しい!良い人生を!

2013年10月24日 木曜日

 難聴の程度が国が定めた基準を超えると「聴覚障害による身体障害者」に認定されて、五年毎に補装具(補聴器)が支給される。
 両耳七十㏈(デシベル)以上で身体障害者六級、八十㏈以上で四級、九十㏈以上で三級、百㏈以上で二級、また両耳の言葉の理解力が五十%以下で身体障害者四級に認定される。
 沖縄県は、日本復帰後迄の医療の遅れもあり、その認定率は全国平均の約半分と低い。
 高齢社会が進行、高齢化率が二十%を越し、全国で高齢者が三千万人を越えたとの報道がされているが、その約半数は高齢難聴なので、全国で一千四~五百万人、当県でも十四~五万人の高齢難聴者が居り、その十五~二十%は身体障害者に該当することになる。
 しかし、補聴器不評で、必要な人の十~二十%、当県で五~十%しか使用されていない。
 年齢が進んで、聴えないままでいると、コミュニケーション障害より、家族・社会より遊離・孤立し、精神的動物である人間は生きがい、生きる意欲を失い、閉じ込もり、寝たきり、認知症など人間として生きて行けなくなり、要介護状態になる可能性が高くなる。非常に多くの人生が駄目になり、とても気の毒であると同時に、すでに高齢難聴者の三~四割は要介護状態になってしまっていると思われるので、その介護費・医療費の激増から増税にならざるを得ない状況にある。
 両親・祖父母など、家庭内に難聴で不自由し出している人々、または周囲が不自由している家族も多いと思われるが、最近は私共のホームページなどを見て、家族が連れて来られる人も増えて来ていることは喜ばしい。
 確かに、補聴器はただ着ければ良いと云うものではない。一人ひとり聴え方が異り、補聴器の音質もメーカーにより異なるので、どの補聴器が合うかは、御本人しかわからない。
近年、この高齢者難聴の大部分は、耳を養っている血管の動脈硬化と判明、従って予防が可能で(近年、私共は「百歳を越しても補聴器不要にしよう!」をキャッチフレーズに希望する自治会・老人クラブなどに無料で出張講話と全員聴力検査による個別の指導を行っている)、難聴になってもそこで停止させ、「音は聴えるが、言葉はわからない!」(高齢者難聴の特徴)と云う“音の歪(ひずみ)”(聴覚細胞の障害により、音の大きくなり方、濁り方が変る)も測定可能、改善も可能となって来ているので、これにより、高齢難聴者も自分の思い通りの、良い人生を歩んで欲しい!

特定非営利活動(NPO)法人沖縄県難聴福祉を考える会
附属診療所「補聴相談のひろば」
相談医・野田 寛(琉球大学名誉教授)


  • カテゴリー: 論壇
  • 投稿日:2013年10月24日 木曜日

【論壇】高齢者難聴にならないように!なっても適切な対応で、

2013年8月23日 金曜日

 私共、“難聴者の会”「特定非営利活動(NPO)法人沖縄県難聴福祉を考える会」が“補聴器適合運動”を、特に年々増加する高齢難聴者への対応、また近年はその予防“百歳を越しても補聴器不要にしよう)の活動が二十年になるが、これを知らない人が殆どで、日々高齢難聴者がコミュニケーション障害から、家族・社会より遊離・孤立し、精神的動物の人間は生きがい、生きる意欲を失い、閉じ込もり、寝たきり、認知症など、人生を駄目にしているのは非常に残念である。
 高齢難聴は、七十才以上で約半数に起り、高齢化率が二十%を越した我国では、その約半数が難聴なので、その数は膨大で、そのうち難聴の対応がなされている補聴器装用者は十~二十%、当県で五~十%、従って大部分の高齢難聴者は聴えないままで居り、前述の如く、現時点で少なくとも三~四割が人生を駄目にして、要介護状態にあり、このままの現状対応であれば、年々増加し、介護費・医療費は増加、国債もこれ以上増やせないので増税にならざるを得ず、識者が云うように、消費税三十%になるのも時間の問題であろう。
 世の中が段々シビアになり、当県でも家族の高齢難聴に対応する余裕がないからか (私共の難聴相談者の八~九割は私共のホームページなどをみて、家族が連れてくる)。
 高齢難聴の大部分は、耳を養っている血管の動脈硬化による血流障害で、従って、五~六十歳台より、これを起さないように生活をコントロールすれば、前述の如く、“百歳を越しても補聴器不要”は可能である。
 また、難聴に気付いても、そこで難聴進行を停止させることも可能で、同じ補聴器を装用するのにも、基本的な聴えが良い方が補聴器をうまく使えるので、これも重要である。
 更に、最近判明して来たのは、内耳の血流が改善されると、音を感じる細胞の機能が回復、高齢者難聴に特徴的な音の歪(ひず)み―音の大きくなり方が変る。従って“音は聴えるが言葉がわからなくなる”―が改善されることもわかって来た(補聴器は基本的に“音を大きくする”が、約一万個ある聴覚細胞の個々の音の歪みは改善できない)。
 補聴器はただ着ければ良いと云うものではない。一人ひとり聴え方が異なるし、メーカーにより音質も異なるので、どの補聴器が良いかは、本人にしかわからない。
 まず難聴にならないこと、なったら自分に合った補聴器で、良い人生を歩んでほしい。

特定非営利活動(NPO)法人沖縄県難聴福祉を考える会
附属診療所「補聴相談のひろば」
相談医・野田 寛(琉球大学名誉教授)

※2012年(平成24年)8月19日琉球新報掲載


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  • 投稿日:2013年8月23日 金曜日

【論壇】補聴器のリサイクル運動

2013年7月25日 木曜日

 高齢化社会が進行し、高齢難聴者が増えて来ている。七十歳以上で約半数がなるので、その数は膨大である。
 難聴になれば、コミュニケーション障害解消のため、補聴器を必要とする人が多くなるが、高価で購入できない人も多い。
 そこで、私共の“難聴者の会”「特定非営利活動(NPO)法人沖縄県難聴福祉を考える会」は、活動開始した1993年3月3日「耳の日」より、補聴器適合運動を行うと共に、補聴器のリサイクル運動も展開、不要になった補聴器の寄付をお願いし、購入できない方に提供するようにして来ているが、その数は充分ではない。
 新しく補聴器を購入し不要になったもの、亡なった方のもの(多くの地域では“三途の川”を渡る時、聴えないと困るだろうと、お棺の中に入れることが多いようだが、沖縄ではそうではないようなので)などを提供してもらえると喜ばれ、元気になる方が多くなる。
 補聴器は単に着ければ良いと云うものではないのも事実である。一人ひとり聴え方が異なるし、メーカーにより音質が異なるので、どの補聴器がその人に良いかは、本人にしかわからない。従って、なるたけ多くの補聴器が提供されれば、その人に適合した補聴器の選別ができる。
 年齢が進んで聴えないままでいると、コミュニケーション障害より、家族・社会より遊離・孤立し、精神的動物である人間は生きがいとか、生きて行く意欲を失い、閉じ込もり、寝たきり、認知症などになる可能性が高くなり、その数も膨大になりつつある(高齢化率が20%を越した我国では、報道されたように約2千9百万人の高齢者が居り、その約半数が難聴なので、その数は膨大で、しかも補聴器の使用率が全国で10~20%、当県で5~10%と、大部分は難聴のままで居り、これらが寝たきり、認知症の予備群で、その3~4割は要介護状態にある)。
 従って、不要補聴器を高齢難聴者に提供することは、閉じ込もり、認知症の要介護者を減らすことになり、増税の回避につながる(我国は国債が世界最高額で、これ以上は不可。従って増税にならざるを得ず、識者のいう消費税三十%とはともかく、まず出来ることを行って、共に助け合い、より良き未来を迎えるための努力をする必要がある。)
 これから高齢を迎える人には、難聴予防も可能であることを知っておいてもらいたい。

特定非営利活動(NPO)法人沖縄県難聴福祉を考える会
附属診療所「補聴相談のひろば」
相談医・野田 寛(琉球大学名誉教授)


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  • 投稿日:2013年7月25日 木曜日

【論壇】我国の国債格付け低下と、難聴高齢者の放置

2013年6月3日 月曜日

 昔、「風が吹くと、桶屋が儲かる」との落語があったが、表題の「国債格付け低下と難聴高齢者の放置」がどう関連するのだろうか。
 年と共に殆んどの人が聴えが悪くなる。早いか遅いか個人差があるものの、殆んどの人に起る。七十歳以上で約半数が、九十歳以上で殆んどが、補聴器を必要とするようになる。
 そして、その数は膨大で、高齢化率が二十%を越した現在、二千九百万人の高齢者が居り、その約半数が難聴なので、全国で一千万人以上、当県でも十万人以上いると推測される。
 これらの高齢難聴で適合補聴器で対応できている人は、補聴器の評判が非常に悪いため、全国で十~二十%、当県で五~十%と、殆んどの難聴高齢者は聴えないままでいる。
 年齢が進んで聴えないままでいると、コミュニケーション障害より、家族・社会より遊離・孤立し、精神的動物の人間は生きて行く自信・意欲を失い、閉じ込もり、寝たきり、認知症になる可能性が高くなり、前述の全国で一千万人以上、当県の十万人以上の難聴高齢者の三~四割は寝たきり、認知症など要介護状態にあり、時々刻々と増加して行く。
 当県でも、これらの要介護者を家族で対応できるところは年々少なくなって来ている。
 すると、介護所を造り、介護人を雇用するなど、その費用は膨大となり、消費税など増税にならざるを得ないし、それを回避すれば国債が増えると云うことになり、世界最大の国債で成り立っている我国、「震災」「原子力発電の廃止」などで、貿易収支がすでに二ヶ月赤字化して来たことも加わって、当然国債の格付けが低下する。これに「難聴高齢者の放置」が全てとは云わないが、大いに関与していることを非常に深刻な状態と国民全体が深く認識すべき時に来ている。
 そして、この難聴高齢者問題は、私共特定非営利活動(NPO)法人「沖縄県難聴福祉を考える会」(難聴者の会)が約二十年前より提言して来ているように解決が可能である。
 まず、高齢者難聴の大部分は耳を養っている血管の動脈硬化なので、その知識を普及させ、六十歳以上は毎年聴力検査を行い、指導・管理して難聴にしないようにできる。
  難聴になったら、早期対応して適合補聴器を得られるシステムをつくる(補聴器はつければ良いというものではなく、その人の聴え方に合わせ、メーカーにより音質が異なるので、どの補聴器が良いかは本人しかわからないなど)ことにより、適切対応は可能である。

特定非営利活動(NPO)法人沖縄県難聴福祉を考える会
附属診療所「補聴相談のひろば」
相談医・野田 寛(琉球大学名誉教授)


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  • 投稿日:2013年6月3日 月曜日
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